4月10日~13日に晴天のサンアントニオで開催された AIIM 2018カンファレンス は、情報管理の未来が明るいという空気がまさに伝わってくる内容でした。
AIIMは12か月前、インテリジェント情報管理という新語を使って、エンタープライズコンテンツ管理(ECM)に勝るコンテンツサービスの良さをさらに強く主張しました。この主張は、組織名がAssociation for Intelligent Information Managementに変更されたことにも表れています。この考えをさらに発展させ、肉付けすることに重点を置いたのが、今年のカンファレンスです。その内容をここでご紹介しましょう。
AIIMとNuxeoは最近、エンドユーザ組織が直面している[情報管理の課題に関する調査](http://info.aiim.org/modern-problems-require-modern-solutions-meeting-the-challenge-of-big-content-nuxeo-1)を共同で実施しました。
カンファレンスに参加したAIIMのプレジデントJohn Mancini氏は、その基調講演の中で、今日の組織が直面している課題の多くが拡張性に関連したものであるという重要な発見事項を取り上げました。
- 膨大な量の情報が組織に押し寄せている
- 情報が押し寄せるスピードが高まり続けている
- 組織内の無数の場所に情報が格納されている
- 動画、画像、オーディオなど、新しいコンテンツの種類が増加している
- それらの新しいコンテンツのサイズが増大し続けている
これらの課題を1つにまとめた考えが「ビッグコンテンツ」です。
ビッグコンテンツとは何か
「コンテンツ版のビッグデータ」のことかと思う人がいるかもしれませんが、ちょっと違います。
ビッグデータとは、大規模データセットを処理して、そこから価値を引き出す一連のツールや手法、つまりテクノロジーの1つです。ビッグデータは当初、問題(つまり、好適なユースケース)を特定するテクノロジーとして始まったという見方もありますが、
この考えはビッグコンテンツにはまったく当てはまりません。その主な理由は次の2つです。
1.ビッグコンテンツは、課題を定義したものであって、課題を解決しようとするものではない。
2.ビッグデータが好適なユースケースを見出すものであるのに対し、ビッグコンテンツはユースケースから生み出されている。エンドユーザは、自分たちが情報から何を得たいかを、ビッグコンテンツの課題に基づいて定義するようになっており、それらの課題を解決してくれるテクノロジーを求めています。
ここで登場するのがコンテンツサービスです。もっと具体的に言えば、コンテンツサービスプラットフォーム(CSP)を利用することにより、ビッグコンテンツの課題に対処し、インテリジェント情報管理の約束を果たすことが可能になります。1つ例を挙げてご説明しましょう。
今日の問題を解決するには今日のソリューションが必要
ECMはかなり前から、組織内の情報管理にかかわる課題をすべて解決することを約束していますが、その約束がいまだに果たされていないのはなぜでしょうか?ECMのアプローチは、組織内のすべてのコンテンツ(およびコンテンツ主導プロセス)が単一のリポジトリに配置され、そこで管理されるという考えに基づくものでした。このアプローチが失敗に終わった理由は多数ありますが、その最たるものとしては、背景情報を与えるためにコンテンツに付随するデータが無視されていたことが挙げられます。CRMやERPなどのLOBアプリケーションにデータが残ったままとなり、ひとつひとつのシステムとの間にカスタムリンクを作成しなければなりませんでした。これが問題にならないこともありますが、大抵は、データサイロやコンテンツサイロの急増を招きました。このことは、ITの運用をさらに複雑にし、複数のシステムから情報を見つけなければならないエンドユーザの負担を増大させました。
CSPは、外部のシステムおよびリポジトリとの接続を標準化し、コンテンツとデータがシステム内に配置されていなければならないという制約を排除することによって、この問題を打開します(興味深いことに、AIIMカンファレンスには、コンテンツをシステムに格納する必要性を依然として主張している「レガシー」ECMベンダも参加していました。果たしてこの主張をいつまで続けられるでしょうか)。
「コンテンツのインプレース管理」アプローチの場合、ユーザは必要なすべての情報とコンテンツに単一の中央ハブからアクセスできます。IT部門は、以前はレガシーシステムに閉じ込められていたデータに状況に応じてアクセスできるようにすることで、これらのシステムに対する投資から価値を引き出すことができます(前述の調査によると、この問題を解決することの重要性を75%の組織が認識しています)。それに加え、これらレガシーシステムからの戦略的な移行を、秩序を保ちながら独自のペースで徐々に進めることも可能になります。この柔軟性により、(コストもリスクも高くなる)一括導入型のビッグバンアプローチが不要になり、何千ドルもの保守・サポートコストを節約できる可能性があります。
組織にとっておそらくもっとも重要な点は、基盤プラットフォームによってデータとコンテンツが全社規模で統合されるため、パーソナライズされたソリューションをユーザに提供することによって、コンテンツのカオスに伴う課題の解決にようやく着手できるようになることです。それを実現するのが、NuxeoをはじめとしたCSPベンダが提供している、コーディングの必要性を最小限に抑えたRAD(ラピッド・アプリケーション・デベロップメント)ツールです。
これらのツールを使用すると、コンテンツ、データ、プロセスを連携させるソリューションをドラッグ・アンド・ドロップ操作で作成し、エンドユーザが抱えるさまざまなニーズを満たすことができます。
ソリューションの応用分野は、クレーム管理や人事オンボーディング、ブランド管理、イベント管理、統合型レコード管理など、ほぼあらゆる業務をカバーします。このようなソリューションが必要とされているのはなぜでしょうか? たとえば、AIIMカンファレンスに参加していた某大企業によれば、同社の平均的なエンドユーザが仕事に使うために同時に開いているアプリケーションの数は7つに及び、これらのアプリケーション間の情報のカット・アンド・ペーストがカスタムワークフローの一環として行われています。7つのアプリケーションの関連する情報とコンテンツを中央ハブにまとめて、一元的にアクセスできるようにしたら、生産性がどれだけ向上し、プロセスの途中で間違いが起こる可能性がどれだけ低くなり、ユーザが仕事から得られる満足感がどれだけ高まるかを想像してみてください。
このことこそが、コンテンツサービスプラットフォームのもたらすメリットであり、インテリジェント情報管理の現実的な価値提供であると私は考えます。重要なのは、ハードワークではなく、スマートに働くことによって、既存の投資から価値を引き出すことです。
AIIMカンファレンスで話す機会のあったエンドユーザ全員に共通して言えることは、誰もがビッグコンテンツの課題に直面しながらも、問題を解決できずにいることです。来年のAIIM 2019カンファレンスまでには、(Nuxeoのソリューションを導入して)問題を解決したという報告が多くのエンドユーザから寄せられるようになっているはずです。