インテリジェントな情報管理のイノベーション
Kevin Craine氏がNuxeoのDavid Jonesにインタビュー
人工知能(AI)、機械学習(ML)、ロボティクスを使ったプロセス自動化などのインテリジェントな情報管理のイノベーションが話題にされる際、たいていはリスクの低減や「何かを直す」ことが焦点となっています。実際、新しいメソッドやアプローチがサイバーセキュリティのリスクを抑制し、より良い規制コンプライアンスと情報ガバナンスを実現するうえで、大きな効果をもたらすのは事実です。また、プロセスを自動化し、紙を排除することで、経費を節減しワークフローを合理化できれば、デジタルトランスフォーメーションにとって間違いなく価値あるアプローチです。でも、もっと踏み込んで考えてみたいと私は感じました。「ここから先へ前進させるアプローチや戦略の機会はどこにあるのか」。新しい、おそらくは私たちがこれまで考えたことのなかったような方法で、違いを生むアプローチや戦略です。
Nuxeoの製品マーケティング担当バイスプレジデント、David Jones氏へのインタビューで、この疑問への答えをいくつか見つけました。DaveはAIIM (Association for Intelligent Information Management) Internationalの理事も務めていて、デジタルトランスフォーメーションのシステムおよび戦略の専門家です。インテリジェント情報管理のイノベーションといまだ実現していない機会について話したインタビューの抜粋を、以下にお届けします。
私たちの業界ではしばしば、リスクを回避し、既存のプロセスをリメイクすることが重視されます。でも、Daveさんは別のアプローチがあると説いていて、これを「可能性の芸術」と呼んでいらっしゃいますね。これについて説明していただけますか。
私たちが現在直面している課題は、企業のコンテンツ管理や情報管理に対するアプローチが、これまで常に「問題解決」という視点に立っていた点です。コンテンツは「問題」として扱われてきました。直す必要があるもの、管理しなければならないものであって、機会や資産とは見なされていなかったのです。どれもネガティブな見方です。でも私は、「可能性の芸術」を考え始める時だと思っています。
企業のコンテンツ管理に対するアプローチは、これまで常に「問題解決」という視点に立っていました。でも私は、「可能性の芸術」を考え始める時だと思っています。
考えてみれば、コンテンツは非常に大きなイネーブラーになることができます。事業により良い洞察をもたらし、それが翻って非常にユニークな差別化を実現します。人と人のコミュニケーションを活性化し、それが最終的に顧客体験に直接的に影響する可能性があります。そしてもちろん、自動化を通じてプロセスを改良するため、反復の多い単純作業から人々を解放し、もっと価値のある活動に従事する時間をもたらします。私たちは過去20年にわたり、人がコミュニケーションする文書をどうやってデータに落とし込むかを考えてきましたが、そのデータを活用し始めるべき時が来ています。もっと先を見据えた方法、利益をもたらす方法で、情報や理解を活用するのです。
それを実現するための方法には、どのような方法がありますか。
最初のステップは、コンテンツとデータの間にはるかに流動的な次元を確立し、それをコンテンツに戻していくことです。単に技術だけでなく、このアジリティのマインドセットを持つことが、企業にとって大きな資産になります。
いくつか例を紹介していただけますか。
ひとつの例としては、ヘルプデスクがあります。1人の担当者の手元に150件のメールが届いていて、今日中に全員に返信しなければならないとしましょう。何から始めればよいのか。どうやって優先順位を付けるのか。これには、センチメント分析を使うことができるかもしれません。センチメント別にカラーコードを付けて、重要性を色分けするのです。お怒りのお客様からのメールは赤でマークして、リストの最上部に表示するなどです。このように単純なことが、業務効率やサービス品質、そしてお客様の満足度に大きな違いを生む可能性があります。
コンテンツは大きなイネーブラーになることができます。事業により良い洞察をもたらし、それが顧客体験に直接的に影響します。
もうひとつの例は、自動車事故を起こした場合です。事故を起こしたドライバーがアプリを起動すると、チャットボットが「大丈夫ですか」と言ってきます。ドライバーが「事故を起こしてしまった」とアプリに入力するか話しかけると、チャットボットがこう答えます。「位置情報を入手しました。この場所で正しいですか。救急車を手配しましょうか。それともタクシーを手配しましょうか」。これは自動化されたプロセスですが、自然な会話のように運ぶため、ユーザを安心させながらすばやくシームレスにプロセスを処理して、究極的に人間のオペレータと話すよりも満足度が高く、効果的な体験にすることができます。
データキャプチャと分析と自動化がすべて融合する結果として、「可能性の芸術」が現実の世界にもたらされるというわけですね。
そのとおりです。これはプロセス側の能力です。コンテンツの環境を読み取って、アプローチ全体を変化させ、これまで可能とは思われなかった改良や変化を実現します。可能性は無限です。が、環境を総合的に見る洞察が必要であり、それは私たちがこれまでおおむね見落としてきた部分です。
Kevin Craine氏は、ビジネス専門ライター兼技術アナリストであり、定評あるポッドキャストのプロデューサーとしても知られています。Twitterで影響力を発揮するエンタープライズコンテンツ管理業界のナンバー1インフルエンサーに選ばれたことがあり、また世界中に同氏のリスナーやリーダーがいます。詳細はCraineGroup.comをご覧ください。
TwitterでKevin Craine氏をフォロー