テレビアニメ「宇宙家族ジェットソン」を見て育った私と同世代の人間にとって、この番組に登場するロジーのようなメイドロボットは、言うまでもなく夢のような存在でした。そして今や、とうとう私は、部屋を掃除してくれるロボットや皿洗いをしてくれるマシンを所有するようになりました。掃除や皿洗いなどの手作業を代わりにやってくれるロジーこそいませんが、家庭内の単純作業がテクノロジーによってますます自動化されていることは確かです。

サイエンスフィクションやハリウッドが私たちに売り込んでいる人工知能(AI)のビジョンは、人としての機能を完全に果たすヒューマノイドロボット、つまり人間の知能を備えたコンピュータのビジョンです。映画や小説に登場するヒューマノイドには、人間を傷つけようとするもの(ターミネーターや「2001年宇宙の旅」のHALなど)と、人間を助けようとするもの(「新スタートレック」のデータなど)の両方がいますが、高度な知能と思考力を持ち、時として人間のような性格や感情も持ちあわせたマシンであるという点は常に共通しています(スタートレックのデータには感情がありませんが)。学問の世界では、これを汎用人工知能(AIG) と呼んでいます。AIGは、イーロン・マスクやビル・ゲイツのような知識人による公開討論で取り上げられているにもかかわらず、実現にはまだほど遠い状況です。

現代のビジネス環境で実際に求められているのは、人間の機能をすべて果たすヒューマノイドではなく、退屈な手作業を自動化してくれる何かです。

ここで重要なのは、何をもって人工知能と定義するかを理解しておくことです。人工知能には様々な解釈が可能ですが、最も広く受け入れられている解釈は、人間によって行われている作業を実行するために機械学習などのAI技術を利用することです。認知的な思考をほとんど必要としない作業(人間が1秒未満で実行できる作業) は、AIで自動化できる単純なプロセスです。この種類の作業の例としては、画像に何が含まれているかの認識、文章のトピックの理解、特定のタスクにかかる時間の予測などがあります。

AIの最先端をいくNuxeo

Nuxeoでは、Google Image APIなどの外部のAPIを使用してAIテクノロジーをプラットフォームに統合する取り組みを、Nuxeo Visionで既に開始しています。現在は、お客様に固有のニーズに応じたモデルの作成と適合を、高度に自動化されたインテリジェントな方法で行うツールの統合を進めています。

次のような使用事例を考えてみましょう。

ACMEは、画像ファイルや文書などの非構造化アセットを大量に所有しています。この例では、これらの画像ファイルが様々な写真撮影で生成された写真であるとします。同社は、インデックスを作成して絞り込み検索にかかる時間を短縮できるよう、各デジタルアセットにメタデータを追加したいと考えています。

Nuxeoなら、オブジェクトの検出用に既存のGoogle Vision APIを統合する処理チェーンを作成できます。また、インデックス作成の対象画像に含まれているオブジェクトのリストが出力時に特定されます。これらの属性が各デジタルアセットに自動的に追加されるようになると、ACMEは、ハンドバッグやオートバイなどの画像を含んでいる写真を検索できるようになります。また、拡張性に優れたNuxeoコンテンツサービスプラットフォームのおかげで、すべての写真を比較的短時間で処理することが可能です。

Nuxeo AI:付け足しが可能な動的な構成

写真にアクセスしたユーザが、最新製品がAPIによって認識されていないことに気付いたとします。この問題は、カスタムモデルをプロセスに追加するだけで解決できます。つまり、新製品の画像を含んでいる写真と含んでいない写真の両方にACMEユーザがタグ付けすると、このデータをもとに、AIアルゴリズムがタスクの再現方法を学びます。それと同時に、ACMEの最新製品を検出する2番目のAI要素が処理チェーンに追加されます。

また、写真が屋内と屋外のどちらで撮影されたものであるかを知ることにビジネス価値がある場合も、問題はありません。
新しいカスタムモデルを追加すればよいだけです。先ほどと同様、システムは新しい写真にメタデータを注釈として追加すべきであることをユーザに通知し、Nuxeo AIアルゴリズムを使用してタスクを再現できるようになります。

Nuxeoは、作成したアルゴリズムをECMプラットフォームに統合する効果的な方法を特定することによって、人手による操作を減らし、最終的に現実世界の価値をお客様に提供できるようにすることを目標に掲げ、AIのさらなる活用を可能にする方法の模索を続けています。