クレームリーケージ(claims leakage)とは、保険請求に対して実際に給付された金額と給付すべきであった金額との差額を意味します。ただし、この損失が発見されるのは、保険金の給付後に行われる監査の段階です。つまり、修正するには遅すぎることを意味します。

クレームリーケージは、保険会社に年間 300 億ドル以上の損失を招いていて、総給付額の 5 ~ 10%に相当しています。生命保険では 25%に達することもあり、破壊的な業務革命が多分に起こり得るこの業界にとって、大きな痛手となる損失です。

##クレームリーケージとは何か
クレームリーケージとは、保険会社が請求に対して過少な保険金を給付しようとすることではありません。契約上の支払い義務以上に保険金を給付しないことで、出費を管理することを目的としています。

International Risk Management Institute(IRMI)では、クレームリーケージを次のように定義しています。

請求管理の非効率から生じる損失で、究極的には既存のプロセス(手作業または自動作業)の欠点に起因している。

保険会社は、ベストの顧客体験を創造する一方で、コストを最小限に抑えようとしています。つまり、お客様からの請求を徹底的に調査することで、給付までに時間がかかるようになれば、お客様の満足度にどれだけマイナス影響があるかを考えなければなりません。昨今のお客様は保険会社をものの数分で切り替える傾向にあることから、お客様とのタッチポイントであまり良いとは言えない体験がたった 1 回あるだけで、その方との取引が失われるだけでなく、その方の家族や友人まで他社に行ってしまう可能性があります。

保険会社は、請求監査の段階でクレームリーケージの原因を突き止めます。給付済みの請求をあらためて見直すことで、業界のベストプラクティスが確実に遂行されているどうかを見るのが、この監査の目的です。クレームリーケージの程度を見極めるには、請求がどのように決済されているかを、いくつかの要因に照らして比較します。

IRMI によると、次のような要因が含まれます。

すべての請求案件を見渡した場合に、給付の決定にどれだけ一貫性があるか。準備金や決済に関する適切なガイドラインが使用されたか。損害調査を十分に行って、詐欺の可能性を抑制したか。請求案件のサンプルすべてに対し、一貫して効果的に代位求償や第三者回収が試みられていたか。

代位求償とは、第三者の損失責任を追及することで、保険会社が被保険者に支払った保険金を回収しようとすることです。保険金を給付する保険会社には、この権利が付与されます。

##クレームリーケージの主な原因
経営心理学者のハロルド・レヴィット氏は「人、プロセス、技術」のコンセプトを事業経営にもたらしましたが、残念ながらこの 3 つは、クレームリーケージを生じさせる最大の要因でもあります。PwC は、クレームリーケージの基本的な原因を、次のように説明しています。

  • :人的エラー、手作業への依存、トレーニング不足から生じる賢明でない意思決定、事業の戦略に整合しない KPI。
  • プロセス:欠点のある業務プロセスとそれをさらに悪化させる不十分な確認プロセス、ずさんな調査と記録、請求業務のリアルタイムモニタリングの欠如。
  • 技術:各部署に分散したレガシーのデータシステム、データ品質の悪さ、分析ツールの非効果的な使い方。

また、PwC は、クレームリーケージが起こりやすい業務領域を 3 か所指摘しています。 1.詐欺検出の規則エンジンがあまり有効でないため、また詐欺リスク評価が頻繁に実施されないために、詐欺請求や過剰請求が検出されない。 2.社員の経験不足、手作業のプロセス、分散したデータシステム、適切な品質保証の不足などが原因で、誤った金額が給付される。 3.記録や伝達が不十分なこと、請求処理のアプローチに一貫性がないこと、および請求担当者の間を「たらい回し」される結果として、改善の機会が発見されない。

明言はされていませんが、これら 3 つの原因のすべてを引き起こしているのが「人」と言えそうです。

##問題の根っこにある「人」の要因

請求を支える「人」

E&Y の報告書によると、クレームアジャスターは自分のスキルに基づいて意思決定を下すため、アジャスターのスキルのレベルが低ければ、問題の可能性に気付く能力も大幅に下がります。また、あるアジャスターから別のアジャスターへと請求案件が引き継がれるたびに、案件の継続性が失われるという危険な状況を招きます。プロセス全体のスピードが落ちることは言うまでもありません。さらに、弁護士や医師などのベンダー管理のまずさも、クレームリーケージで大きな役割を果たしています。

E&Y は、先を見越して動くような請求処理のアプローチが欠けていて、代位求償や回収が行われず、機会を相殺してしまうことも、クレームリーケージの主な原因だと指摘しています。

ただし、きわめて経験豊富なクレームアジャスターにとってすら、付加的なロスディベロップメントの可能性が高い請求を特徴付けるリスク要因の優位を適切なタイミングで認識して数量化することは難しい。
― E&Y の報告書

最新の技術とインテリジェントなプロセス自動化は、大きなコストを招くこれらの問題の多くを克服するのに役立ちます。人的エラーを生じさせやすい反復的な業務を自動化し、請求処理プロセスに価値をもたらさない紙ベースの業務を廃止し、人工知能、機械学習、予測モデリング、詐欺防止技術などの進歩的な技術を使用することで、保険会社は、人材をもっと有効活用できるようになります。

クレームリーケージをコントロールすることは、ヒューマンタッチを失うことではありません。正しいプロセスと正しい技術を、ベストの人的リソースと組み合わせることを意味するのです。

詳細は、弊社の白書『The Future of Claims Processing is Here』をご覧ください。