シカゴで先週開催された保険業界の会議「Connected Claims USA Summit」は、業界のエグゼクティブが一堂に会する場となりました。USAA、Allstate、Zurich、Farmers、American Modern、CHUBB、Esuranceなどの大手企業に加え、Hippo、Metromile、Swyfftといった新規参入組が参加して、これまでの請求処理のあり方を覆しつつある最新の変化や、それに対して業界がどう対応すべきかが話し合われました。
明らかなメッセージ
この会議のメッセージは明らかでした。これまでどおりの業務の進め方では、デジタルに明るい今日のお客様のニーズには応えられない、というメッセージです。保険会社の顧客は、請求プロセスにスピードと透明性、そして細やかなコミュニケーションを求めています。会議に参加した保険会社はいずれも、今後その期待に応えていくには、人海戦術ではなく技術とイノベーションが必要だと認めていました。「ストレート・スルー・プロセッシング(STP)」、「バーチャル請求処理」、「人工知能(AI)」といったトピックに、会議の話題が集中しました。しかし、保険加入者への思いやりや配慮を抜きにしたテクノロジーは、答えではありません。
State Farmの最近のCMも話題に上がりました。顧客体験を犠牲にしてチャットボットを使用している他社を皮肉ったCMが、そのリスクを表現しているという指摘でした。テクノロジーと人間のタッチポイントの間でバランスを取る顧客体験こそが、未来の請求プロセスの特徴となる必要があります。
単純作業はテクノロジーに
タッチレスの請求処理がもたらすメリットは、この会議でも大いに議論されましたが、テクノロジーを使うことが、イコール人間のタッチポイントを犠牲にするというわけではありません。実際には、技術を活用することで、保険会社は、付加価値をもたらすタッチポイント、すなわちセンチメント分析で人間のインタラクションが必要と示唆されるタッチポイントに介入できるようになります。また、テクノロジーは、誰が担当しても最終的な審査結果に違いが出ないような請求案件で、人間のアジャスターの労力を省く目的でも使うことができます。テクノロジーが日常的な案件を処理する間に、アジャスターはより複雑な案件に集中できるようになるというわけです。
新規請求の体験でAIが活躍
この会議でAIベンダーが発揮していた存在感は、保険会社がSTPやバーチャル請求処理などのトレンドを真剣に見据えている様子を物語っていました。
STPは、フロントガラスの損傷や、レンタカーやレッカー費用の払い戻しといった単純な請求の処理に理想的な方法として、すでに地位を確立させています。AIのアルゴリズムが進歩するにつれ、他の種類の請求も、この種のタッチレス自動化技術の対象になるでしょう。
また、バーチャル請求処理を活用している保険会社は、すでに3分の1に達しています。バーチャル請求処理とは、保険加入者が提出した写真やビデオをAIで分析して、損害額を見積もることです。これにより、アジャスターを現場に派遣して損害状況を実際に見なくても済むようになるため、処理時間を10~15日から2~3日に短縮できます。業界トップ50社の95%がこの技術をすでに活用しているのもそのためです。請求処理をスピードアップし、業務の精度を向上させ、優れた顧客体験を実現して業績を向上させるうえで、テクノロジーが重要な役割を果たすことは明らかです。
請求は依然としてコンテンツ集約度の高い業務
ただし、技術がこれだけ進歩しているとはいえ、請求処理は依然としてコンテンツへの依存度が高いプロセスです。そのコンテンツのほとんどは、請求書類のどこかに記載されていなければなりません。市場行為検査の結果を分析すると、請求書類の記録が不完全または不適切であるという問題は、毎年必ずコンプライアンス問題のトップ10に入っています。社内の様々な部署に散らばった情報を見つけて取得するのが難しいと感じている人がほとんどであることを考えれば、決して驚きではありません。複数のリポジトリや個別のソリューション、合併・買収、さらには経営陣が命ずる義務付けなどはすべて、社内の多数の場所にバラバラに保管されるコンテンツの量と種類を爆発的に増加させます。情報への適切なアクセスがなければ、どんなにすばらしいイノベーションでも、効力をフルに示すことはできません。
最も重要な要因
Nuxeoでは、請求処理を対象とした技術導入プロジェクトを進めるうえで必要となる重要情報の管理という側面から、保険会社をサポートしています。世界最速の車を開発しても、燃料がなければ走ることはできないように、情報こそが保険会社を機能させる燃料だからです。Nuxeoが最新のコンテンツサービスプラットフォームを提供して、情報を最大限に活用する最新の請求処理技術をお手伝いさせていただきます。
ある調査では、保険請求の際の体験が満足のいくものでなければ保険会社を変えると答えた回答者が83%に上りました。American Modern Insurance GroupのCEO、Andreas Kleiner氏が今回の会議で語った言葉は、それを端的に言い表しています。
請求は、保険業界のお客様のロイヤリティを維持するうえで最も重要な要因です。
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