先週私は、Henry Stewartの皆さんとともに「DAMを正しく実装する5つの方法と、避けるべき大きな間違い(最前線からの教訓)」というウェビナーを実施しました。
ウェビナーでは、ある大手CPG(消費財)メーカーでNuxeoが行ったDAMの実装について詳しく説明し、ベストプラクティスもいくつか紹介しました。
デジタルアセット管理を正しく実装するには:
1.複数のサイロに分散したコンテンツを見つけられるようにする方法
2.収益増に結び付ける方法
3.実際には存在しないシステムも含め、他のシステムに接続する方法
4.柔軟性を維持することの重要性
5.より大きな企業イニシアティブにつながるDAMの実装
また、DAMを導入する企業が注意し、避けるべき点、つまり、導入を急ぎすぎて、一度にカバーする範囲を広げすぎるという間違いについても触れました。
ウェビナーの多くの参加者から的を射た質問が寄せられましたので、この記事では、ウェビナーでお答えすることのできた質問に加え、時間的制約のためにお答えできなかった質問もいくつか取り上げ、ご説明したいと思います。
Q: DAMを初めて導入する場合、どのぐらいの期間がかかるものと見込んでおくべきでしょうか?
A: この手の質問に対する答えは、言うまでもなく「場合によりけり」です。導入スコープのサイズ、明確さ、安定性のほか、導入企業の規模と複雑性、必要に応じて関係者の協力を得るうえで重要となる経営陣からのサポート、どの程度大幅な文化的シフトが求められるかなど、さまざまな要因によって決まります。
このCPGメーカーの場合、導入スコープが当初から綿密に定義され、合意に基づいており、また、メーカーの社内チームが導入期間を通じて積極的に関与し続けるという、好条件がそろっていました。その結果、作業開始から本番稼働開始までの初回導入のスコープは、1回あたり2週間のスプリントを8回行うよう設定されました。当初は7回を予定していましたが、その後スコープ要素が追加されたため、スプリントを1回増やすことになりました。
スプリントごとの導入作業のハイライトは次の図でご確認いただけます。
Q: Nuxeoソリューションにとってメタデータはどの程度重要ですか?
A: 非常に重要です!メタデータはあらゆる機能の原動力です。もっと具体的に言うと、Nuxeoは、メタデータ、ファイル、添付ファイル、アクセス許可、ユーザといった項目を、さまざまな方法で接続することのできる同等のオブジェクトとしてとらえるオブジェクトモデルを採用しています。このウェビナーで説明したような典型的な使用事例では、ライフサイクル状態は定義済みのメタデータ属性であり、アクセス許可を付与するために使用されます。その結果、ドラフト版のコンテンツはそのコンテンツで作業しているユーザにしか表示されないのに対し、承認済みのコンテンツは組織内のより広い範囲のユーザに表示されるようになります。しかし、この使用事例は氷山の一角にすぎません。「Nuxeoメタデータ」をGoogleで検索すれば、さらに多くの使用事例をご確認いただけます。
Q: 導入スケジュールの概要(スライド29)に示されている、「アセットの移行」スプリントフェーズと「データの移行」スプリントフェーズの違いについて、もう少し詳しく説明してください。
A: スプリント5のアセットの移行では、移行パスの構築、構成、テストを行い、スプリント7のデータの移行では、そのプロセスに基づいてデータを本番稼働させました(プロセスを使用するには、まずそのプロセスを構築することが必要です!)。
Q: Nuxeoは[IPTCのVideo Metadata Hub](https://iptc.org/standards/video-metadata-hub/recommendation/)に対応していますか?
A: はい!Nuxeoのメタデータモデルは非常に柔軟であるため、標準機能としてサポートされていないどんな機能も極めて簡単に構成できます。
Q: エージェンシー/リリースワークフローで重要なのは、リリース前の権利、アクセス制御、承認ぐらいだと思いますが、リリースシステムに自動的にフィードされるという意味で、かなり基本的な機能だと解釈してよいでしょうか?
A: その通りです。複雑なことは何もありません。必要なのは、導入企業ごとにそのニーズに合った特定のルールを設定することだけです!
Q: 初期メタデータモデルについて言えば、導入企業は本格的なタクソノミーよりもファセットのほうが迅速に採用できると思いますか?
A: ウェビナーで取り上げたポイントの一つに、Nuxeoの顧客企業が直面しているジレンマがあります(これは、DAMを採用しようとしている比較的大規模のサイロ化された組織すべてに当てはまる問題です)。つまり、サイロ間で用語を整合させて、検索で使用される用語の統一を図るべきか、または、各人が独自の言語を使う状態をこのまま続けて、同一コンテンツを複数の方法で見つけやすくするために同義語を利用すべきかの選択です。最終的にこの答えは、導入企業が変更管理にどの程度投資する気があるかによって決まります。
Q: メトリクスに価値を見出していない経営幹部や意思決定者を説得するには、どうすればよいですか?
A: 私自身の経験から言えることは、組織で上に立つ人間を説得する際は、より多くのデータを提示するほど、同意や支援を得られる可能性が高くなるということです。重要なのは、提示するデータと論証しようとしている主張が、会社全体の戦略と整合していることです。CEOが「当社の戦略は左方向に行くことだ」と述べているときに、以前よりも効率的に右方向に進もうとしていることを示すデータを提示しても、おそらく同意は得られないでしょう!
Q: このDAM導入では、何人のユーザがスコープに含まれていますか?
A: 初期スコープには、同社の社内クリエイティブチームとブランドチームの約50~100ユーザが含まれています。外部エージェンシーもスコープに含まれていますが、上図には算入されていません。将来のフェーズは全社的にアクセス可能になります。
Q: PIMとは何ですか?
A: 製品情報管理(Product Information Management)の頭字語です。PIMソリューションの中には、Nuxeo Platformを基盤とするものもあります。たとえば、30年以上にわたり食品業界にサービスを提供しているERP専門ベンダのKeendoは、Web対応のPIMソリューションを構築し、食品メーカーと小売業者が直面している新たな課題に対処しています。同社は、食品業界の規制基準などの重要な側面に対処するための柔軟性を欠いていた既存のPIMツールやPLMツールに代わるツールを提供するため、アプリケーション開発プラットフォームとしてNuxeoを選択しました。
Q: 導入企業の実装チームで最も重要な役割は何だと思いますか?
A: ウェビナーで言及した事例の場合、実際の構成作業を実施したのはNuxeoのサービスチームですが、顧客企業側のチームには、デジタルトランスフォーメーション部門のコアプロジェクト責任者が所属しています。また、ITスタッフは、情報が配置されている他のシステムやリポジトリに加え、データモデルの中心部に置かれる製品データの4つの主な側面を特定することにおいて重要な役割を果たしています。さらに、ブランドマネージャ、コマーシャルチーム、国際チーム、社内エージェンシーなどのユーザグループの代表者も非常に重要です。なぜならば、これらの役割が実装に参加していなければ、またはこれらの役割が自分たちの懸念事項が考慮されていないように感じているならば、あるいはこれらの役割にNuxeoのことが知られていなければ、DAMが広く採用される可能性は大幅に低くなるからです。