考え方を変えないかぎり、習慣は変わらない。
― 近藤麻理恵、『人生がときめく片づけの魔法』
2019年現在、最も賛否両論のある人物の一人と言えば、近藤麻理恵さんです。米国でも「こんまりメソッド 」を説いた『人生がときめく片づけの魔法』の英語版がベストセラーとなり、Netflixのシリーズ番組も制作されました。
彼女への好き嫌いは分かれていますが、どちらにせよ、スッキリと片付いた空間の魅力は否定しがたいものです。シンプルが最新の流行です。
御社のコンテンツサプライチェーンが複雑で込み入っていると感じているとしても、決して珍しいことではありません。クリエイティブ、マーケティング、セールスなどの担当者1,000人を対象にNuxeoが実施した調査では、あるコンテンツが存在することは分かっているのに、どこを探しても見つからないため、同じコンテンツを再度作成したことがあると答えた人が74%に上りました。
シンプルにしたいと思うのはもっともです。でも、それが誤った目標だとしたら、どう思われますか。
複雑さについての考え方を変えることで、デジタルアセット管理(DAM)に関する習慣を改善することができるとしたら、嬉しいニュースではないですか。
敵は「複雑」にあらず - 「柔軟性」にあり
数千人という社員を雇って数十億ドルの事業を行なっている会社が事業で成功を収める理由は、誰でもできる簡単なことをしているからではありません。競争力の核心を支える「企業秘密」は、独創的であることです。そしておそらく、これには他社が取り入れていないような方法で情報を整理することが含まれます。
ならば、なぜデジタルコンテンツのサプライチェーンの複雑さに挑もうとするのでしょうか。複雑なコンテンツサプライチェーンにシームレスに対応して、アセットやワークフローを柔軟に管理し、今日の要求と明日のニーズに応えられるとしたら、問題は解決するのではないでしょうか。
レガシーのDAMソフトウェアを使っている企業にとっての問題は明らかです。今のソリューションでは、どう頑張っても複雑さに対応することができないのです。あるいは、これまで長年にわたって幾多のニーズに応えるために様々なカスタム開発を行ってきたために、情報の流れがまるでお皿の上で絡み合ったスパゲッティのようになってしまっているかもしれません。弊社の競合がコンテンツのサプライチェーンをシンプルにすべきだと提唱する理由はいくつかあります。そうしたベンダーのソフトウェアは、設定の自由度が低く、複雑さに真っ向から立ち向かうことができないのです。
でも、Nuxeoでは、「シンプル化」というのは、「御社の事業をウチのDAMソフトウェアに合わせてください」という意味の婉曲表現だと考えています。
別の言葉で言うと、「痩せて入るようになってください」、あるいは「線の内側であれば自由に色を塗ってくださっていいですよ」といったところでしょうか。要は、御社にとって最も大事なものを捨てるよう促しているのです。
このような妥協が、ビジネス的に理にかなうわけはありません。社員5万人を擁する会社が、1つのソフトウェアに合わせて姿を変えるべきではないのです。
順応性:「ときめき」を感じられるDAMの秘密
最新のDAMソリューションがあれば、御社のアセットと情報の複雑な関係をマッピングすることができ、コンテンツやデータに基づくプロセス、あるいは意思決定に多大な洞察とインテリジェンスをもたらすことができます。
過剰なシンプル化には、マイナスの側面があります。レガシーのDAMソフトウェアは、御社の情報をファイルキャビネットや図書館の目録カードのように整理する傾向があります。旧式の紙のシステムのように、旧式のDAMソリューションは、アセットとそれに付随する情報をどう整理するかについて、厳しい選択を迫るのです。
一方、新式のDAMソリューションは、複雑さを別のやり方で提示する可能性をもたらします。今のデジタル時代にあって、1個のファイルキャビネット、あるいは多くの引き出しがあるクローゼットに物を収める必要はないと考えるのです。アナログの原則に依存せず、情報を新しい方法で整理することができるのです。
それは難しそうだ……と思われた方、この発想を実例で見てみましょう。
1個のアセット、例えば1枚の高解像度写真には、驚くほど多岐にわたる情報が関連付けられる可能性があります。ここでは、スピードスキーヤーのサイモンの写真を使いましょう。
サイモンはモデルで、おそらく過去数シーズンにわたって様々な写真に登場しました。
典型的なレガシーDAMでは、このサイモンの写真はキャンペーンのフォルダに整理されます。キャンペーン担当チームが簡単に見つけて、進行中のキャンペーンに関連付けられるようにするためです。あるいは、写真撮影のフォルダに入れて、写真撮影担当チームにとって使い勝手が良いように整理されるかもしれません。さらには、この写真に写っている製品に基づいてアセットを整理する方法も考えられます。
でも、ちょっと待ってください。従来型の「ファイルキャビネット」の構造は、旧式の整理の原則に制約されているため、1枚の画像に含まれる複数の製品のデータに対応することができません。ということは、この画像をコピーして、個別の製品のフォルダにそれぞれ入れておく必要があるかもしれません。でも、そうすれば、アセットを更新したりメタデータを変更したりする場合に問題が生じます。
一方、最近のDAMシステムは、それぞれのアセットが御社の事業にとって意味することを完全にとらえます。
あらためて、サイモンの画像に戻りましょう。この写真は、「モデル」というオブジェクトに関連付けて、人材管理の担当者がモデル別に情報を整理して視覚化することができます。写真に写っている製品は、それぞれが「製品」オブジェクトと理解され、製品情報管理システムに関連付けることができます。これにより、製品情報管理システムで変更が加えられた場合は、その製品を含んでいるすべてのアセットに最新データが即座に反映されます。
さらに、このたった1枚のサイモンの写真が、キャンペーンや撮影した写真スタジオなど、さらなる関連付けを有していることもあります。このため、製品チームが写真を探そうとする際に、マーケティングチームが整理したファイルキャビネットを見ているような気分にならずに、製品チームにとって意味のある情報を見て検索できるのです。
真のデジタルトランスフォーメーションとは、ファイルキャビネットや引き出しのレベルを超越し、実際の世界で達成できる整理のあり方を超越することを意味します。最新のDAMならば、御社のトランスフォーメーション活動の手綱をしっかりと握って、データやコンテンツの情報整理を御社なりのユニークな複雑さに合わせていくことができます。
というわけで、こんまりさんには申し訳ありませんが、シンプル化というのは戸棚や物入れの話にしておいてください。現代の企業社会では、複雑さが事業資本を構築します。
Nuxeoでは、今日の企業が抱える課題を克服するモダンなDAMのアプローチにコミットメントしています。御社の事業を弊社に合わせていただくのではなく、御社の事業に合わせて弊社が柔軟に対応するのです。結果として何が実現するのかというと、複雑なものをシンプルにするDAMソリューションではなく、複雑さを事業価値に変えるDAMソリューションです。
今後数回の記事では、コンテンツがもたらす課題について、さらに踏み込んで考察していきます。御社がDAMに合わせるのではなくDAMを御社に合わせたいとお考えの方は、ぜひこちらで登録してください。