アナハイムで開かれた2019年のドキュメントストラテジーフォーラムに行ってきましたが、それ以来、カイリー・ミノーグの『スピニング・アラウンド』が頭の中で鳴り響いてやみません(ミレニアル世代の皆さんは下の動画を見てくださいね)。……その心は?
人工知能(AI)が空想から現実のものになり、ローコードが開発時間を短縮し、コンテンツサービスが情報管理の最新かつ最大のトレンドになっている……といった華やかな話題がこのイベントでは飛び交っていましたが、にもかかわらず、会場で聞いた話の多くが、もっと「現実的なもの」だったからです。次のような質問を頻繁に耳にしました。「レガシーシステム
これらの質問は、情報管理業界の多くのベンダーとその顧客の間に存在する「乖離」が大きくなりつつあることを示しています。お客様はスマートです。レガシーインストレーションに問題があることを分かっていて、クラウドにメリットがあることも認識しています。そして、顧客や一般市民や社員を巻き込むエンゲージメントを優先課題に掲げています。でも、多くのベンダーは、この実務レベルの課題に目を向けておらず、現実よりもイノベーションを重視しているかのように見受けられます。だから私は、テクノロジーから現実へ、現実からテクノロジーへと、ただひたすらくるくる回る羽目に陥っているのです。
ベンダーには常にイノベーションのニーズがあり、これは今後も変わることがないでしょう。Nuxeoがこの分野のイノベーションを他社と同様に(あるいはそれ以上に)率いていることを、私も誇りに感じています。MongoDBの使用から、真のコンテンツフェデレーションの実現、そして独自のコンテンツとデータで簡単に学習させられるAIモデルまで、Nuxeoは技術の水準を引き上げ続けています。しかし一方で、日々の業務の現実にしっかりと根を下ろしているのも事実です。
レガシーシステムの近代化
昨年、弊社のウェブサイトに新しいセクションを追加しましたが、まだご覧になっていない場合はぜひ目を通してみてください。情報管理システムの近代化に関するセクションです。ここには多数のコンテンツを掲載しました。いずれも新しいアプローチの必要性を訴えるコンテンツです。多くの組織が情報管理に多数のツールを使用しており、それらのツールを管理するための新しいアプローチが必要とされています。これは、「テクノロジー先にありき」の話ではありません。ビジネスのニーズに導かれた常識的な話であって、まずは技術を賢明に使用することで事業上の課題を解決しましょうというアプローチです。
この控えめなアプローチは、アナハイムのイベントでも何度か話題に上りました。私自身も、Document Strategy MediaのAllison Lloyd氏のビデオインタビューに応えて(録画が公開されたら弊社のソーシャルメディアページでご紹介します)、情報管理市場の現状を詳細に説明し、話題性ばかりでなく現実が伴わなければならない部分も指摘しました。
私がいろいろな人と話したかぎりでは、今日の組織が直面している課題に関して明確に理解されているように思われます(少なくとも組織の視点では)。デジタルトランスフォーメーションが求められているにも関わらず、これまでの初期の試みは暗礁に乗り上げ、現時点で導入されているツールはそれを変えるのに理想的なアーキテクチャではない、という理解です。
とはいえ、努めてポジティブな見方をするならば、これらの課題があるからこそ、変化やイノベーションへの欲求、事業課題の解決を求める意欲が生まれます。それも、1服の特効薬などではなく、実践的で論理的、かつ漸進的なステップでひとつひとつ課題を克服し、テクノロジーはその重要なイネーブラーであると考えるアプローチです。この欲求とポジティブ思考に、ベンダーのもたらす実用性が加われば、ひたすら回り続ける渦巻きから何とか脱出する方法として機能し、プラットフォームを基本とした効果的でインテリジェントな新時代の情報管理へと飛び出す能力を手にできるでしょう。