人工知能(AI)が、コンテンツ管理に大きなインパクトをもたらすようになっています。Nuxeoでは、数年前からGoogle VisionAmazon Rekognitionなどのパブリッククラウド製品との統合を通じて、コンテンツのためのAIを提供してきました。実際、こうした技術を活用して社内の機能を自動化し向上させる企業が増えています。AIの価値はすでに明らかです。AIは、複雑なコンテンツ業務のプロセスを単純化し、全体として情報管理を向上させるのに役立ちます。

しかし、事業目標の達成にコンテンツを役立てようとする企業が増えている一方で、弊社の技術も引き続き進化し、急速に向上しています。

こうして登場したのがNuxeo Insight Cloudです。

Nuxeoの人工知能

このユニークかつ高度な製品は、AIとコンテンツサービスにまったく新しい水準をもたらします。これにより、Nuxeo Content Services Platformでは、2通りの方法でAIを利用できるようになりました。そこで、この違いを明確に理解しておくと、ためになるかもしれません。

##汎用AI
これまでNuxeoをお使いのお客様には、既存のAIプロバイダ(Google VisionAmazon Rekognitionなど)と統合するというオプションが提供されていました。これらのサービスは、「汎用AI」と呼ばれています。汎用AIは、強力な技術に基づいていますが、御社の事業についてはまったく知識がなく、御社がどのような業界の用語を使っていて、どのように業務を遂行しているかも知りません。これらのAIのアルゴリズムは、公共のソースから取得できる全般的なデータセットでトレーニングされていて、幅広く適用してほぼどんなユースケースでもサポートすることができます。

新しい会社に入って最初の数週間や数か月間、社内で飛び交っている用語が分からなくてまごついた経験は、多くの人が持っていることでしょう。汎用AIサービスは、その「まごつく新入社員」のようなものです。ミーティングに出席している同僚が喜んでいるのか怒っているのかぐらいは分かりますが、その理由を理解するほどのコンテキストは持ち合わせておらず、最初からミーティングでそれほど発言できるわけでもありません。

汎用AI

汎用AIは、通常、何らかの単純かつ自動的なメタデータのタグ付けを提供します。ユーザが文書をアップロードすると、例えばその文書が契約書なのか、それとも覚書なのかといった基本情報を、すばやく返すことができます。写真をアップロードすれば、一般的なメタデータのタグを3、4個は付けて返してくるかもしれません。車の写真なのか、木の写真なのかを教えてくれ、写真の分類に役立つ可能性があります。

このようなAIは、限定的とはいえ、なおも情報管理のメリットを複数もたらします。情報管理のプロセスを合理化し、ストレージの必要量を減らし、セキュリティを向上させ、コンテンツや情報の検索をすばやく効果的にできるようになるといったメリットです。

##コンテクスチュアルAI
企業が保管しているコンテンツやメタデータの量と種類が爆発的に増加しているのに伴って、もっと高度で詳細なAIに対する需要も高まっています。これは、Nuxeoがイノベーションの最先端に立つもうひとつのエリアです。

市場に出回っている他のサービスと異なり、Nuxeo Insight Cloudでは、ユーザが業務特有のデータセットを使って独自にカスタムAIをトレーニングできます。この次世代のAIサービスは、ほぼ無限とも言える数の分類法を個々のコンテンツに適用できるため、はるかに詳細で高度な説明をメタデータに加えることができます。

仮に、テレビ放送局のNBCが人気番組「Saturday Night Live」(SNL)の動画ファイルをNuxeoを使って管理しているとしましょう。汎用AIでは、1995年に初めて放送されたアダム・サンドラーの登場するコントのシーンに付けられるメタデータは、25年近く後にリバイバル版として再現されたコントのシーンに付けられるメタデータととまったく同じになるはずです。メタデータは「SNLのアダムサンドラー」としか言ってくれないからです。

1994年当時のアダム・サンドラー

しかし、Nuxeo Insight Cloudでカスタムデータセットを使ってトレーニングしたコンテクスチュアルAIならば、アダム・サンドラーがSNLでこれまでに演じたキャラクターをすべて区別することができます。「キャンティーンボーイを演じる1994年のアダム・サンドラー」か「2019年のアンコールでオペラマンを演じたアダム・サンドラー」かを教えてくれるのです。

このレベルの詳細情報は、はるかに有用です。しかも、このシステムは、使い方も簡単です。コンテンツをアップロードすれば、それが機械学習モデルのトレーニングに使われて、それ以降システムに取り込まれる新しいデータのタグ付けに使われるようになります。

##AI + Content Platform = スマートなビジネス
Content PlatformにコンテクスチュアルAIを統合することで、メタデータのスキーマは、柔軟性の点でも拡張性の点でもはるかに向上します。また、保存され使用されるメタデータの量も、はるかに増えます。画像の解像度、文書で使われている言語、地理情報データなどを、確実にとらえられるようになるためです。こうしてメタデータの機能が向上するだけでなく、その活用能力も高まることから、今日の企業にとってContent Platformが大きな価値をもたらすのです。

有効な検索やワークフローをはじめ、コンテンツを扱う業務で付加価値のある活動を実現しようとするのであれば、業務特有のメタデータが基本として欠かせないことは、すでに周知の事実です。しかし、常に問題となるのが、正確かつ適切にコンテンツを特定して関連素材にリンクさせるのに多大な手作業と投資が必要になることです。コンテンツエンリッチメントを目的とした既存のAIサービスは、この課題に2つの方法のいずれかで対応しています。ひとつは、導入こそ簡単ではあるものの、業務特有のコンテンツには基づかない汎用のメタデータを使用する方法。もうひとつは、カスタムモデルの開発を可能にする一方で、データサイエンスの専門ノウハウを必要とする方法。データサイエンスの専門家が不足していることは言うまでもありません。

Nuxeo Insight Cloudは、ビジネス畑のユーザがトレーニングできるAIモデルを提供することで、この両方のアプローチが抱える課題を真っ向から解決します。

Content PlatformとAIは今後どのように連動していくのか。インテリジェントなコンテンツ管理にとってベストのユースケースは何か。それがもたらす主なメリットは何か――。これらの疑問を、今後の記事で取り上げていきます!