良くも悪くも、私たちは高度にデジタル化された時代を生きています。レストランで食事をしていて、隣のテーブルの携帯電話の会話が聞こえてきたりすると、これは決して良い時代ではないと思いたくなります。でも、情報アクセスやコミュニケーション、コラボレーションがいかに進歩したか、そのおかげで生活がどれだけ便利になったかを考えると、このデジタル世界はすばらしい世界だと思えます。

情報管理の近代化

デジタルトランスフォーメーションや近代化が日常生活で果たす役割についていろいろな人と話してみると、面白いことが見えてきます。より良いヘルスケアや先進医療が受けられるようになると思う人もいれば、アマゾンで最先端の商品を購入して翌日配達を受けられると考える人もいます。

幸いなことに、私自身は、[ハイテク業界と行政セクター]の両方(/ja/industry/government/)にかかわっています。軍の士官を親に持ち、何年も共に暮らしたパートナーは軍務を司る行政機関に勤めていました。ですから、行政が抱えている技術面の最大の課題と聞いてすぐに連想するのは、それらが国民や市民にどう影響するか、省庁とその職員にどう影響するか、そして最も重要な点として、この国を守っている軍人にどう影響するかということです。

サイバーセキュリティとは何か、それがなぜ重要なのかは、皆さんすでにご存じのことでしょう。情報が悪者の手に渡らないよう守ることです。しかし、私にとって興味深いのは、情報保護がファイアウォール技術のはるか手前から始まっているという事実を、あらためて考えてみる人がほとんどいないことです。

データか、コンテンツか、そもそも違いはあるのか

まず第一に、情報を効果的に管理し、保管し、統制できることが重要です。でも、データだ、コンテンツだと、あらゆる用語が重なり合っていて、そもそもたいして違いはないのだと思っていませんか。そうだとしたら、それは間違いです。データの80%は、非構造化データと呼ばれるものであることをご存じでしょうか。ドキュメント、ピクチャ、ビデオ、テキスト、ソーシャルメディアの投稿、メールなど、これらはすべて非構造化データ、すなわちコンテンツです。

これから説明することがなぜ重要なのかをご理解いただくために、背景的な豆知識を少しご紹介しましょう。今日存在するデジタルデータの90%は、過去2年以内に作成されました。しかも、250京バイトの情報が毎日生成されていて、このペースであれば情報の総量は毎年2倍増になると予想されています。その80%以上がコンテンツなのです。

では、なぜこれが重要なのでしょうか。その理由は、すべての行政機能が何らかのタイプのコンテンツを使用することで遂行されているからです。軍事作戦の計画策定から税金の還付まで、コンテンツを使用しない業務はありません。ところが問題なことに、ほとんどの行政機関が、膨大な数の様々な情報システムを使用して、コンテンツを保管し管理しています。その多くは、旧式で効率が悪く、しかも高価なシステムです。つまり、手間と時間を要する苦痛の体験に行政職員が耐えながら、業務遂行に必要な情報を見つけているのです。ストレージとしてBoxやAWSなどのクラウドシステムを追加する近代化の努力は行われているものの、このような付け焼刃のアプローチでは、行政機関のコンテンツ管理を真に近代化して有効なコンテンツ使用を実現することはできません。

既存のシステムを使いながら近代化する

レガシーシステムの近代化

真の変革を実現するには、巨大な一枚岩のようなレガシーシステムのほころびにバンドエイドを貼るような1回かぎりのソリューションとは決別しなければなりません。中央化された情報ハブとして機能して全省庁の情報管理を調和する最新のプラットフォームに目を向ける必要があります。このアプローチならば、既存のシステムやリポジトリに保存されたコンテンツに職員がすばやくアクセスできるうえ、機密情報のコントロールやセキュリティを厳密に管理することもできます。

この種の近代的なアプローチこそが、行政職員の業務遂行を支え、それが翻って、公務員が仕える相手である国民や市民、さらには国に仕える軍人に、より良いサービスを提供できるようになるのです(「仕える」という精神が政府や行政を支える基礎だと私は考えています)。

次回の記事では、コンテンツサービスプラットフォームを使用した近代的なコンテンツ管理のアプローチを取り上げ、次のような目的でどのように使えるのか、行政機関にどのようなメリットをもたらすかを考察します。
重要な業務知識の抽出 業務効率の改善
価値実現までの期間短縮とコスト削減 行政の利用者の体験向上
*規制・コンプライアンス要件の順守