ご好評につき、Henry Stewart DAM NYで発表したプレゼンテーションを再投稿し、概要を示します。以下のスライド、プレゼンテーションの録画、概要書をご覧いただけます。お役立ていただければ幸いです。

Henry Stewart DAM NY - Nuxeoが実現するDAMの未来

未来を見通すには、過去に目を向けることが必要

DAMは当初、アセットを一箇所に収集し、その場所から誰でもアセットを見つけて変換および配布できるようにすることによって、アセットの価値を引き出すという前提のもとに生まれたものですが、この前提は何年も経った今でもほとんど変わっていません。

DAMベンダがこの前提に基づいて約束したメリットは次の4つです。

1.アセットを制御して、間違ったアセットが使用されるのを防ぐ。 2.クリエイティブプロセスを統合して簡略化する。 3.既存のアセットを簡単に見つけて再利用できるようにすることによって、コストを削減する。 4.組織全体でコラボレーションを向上させる。

しかし、DAMの「現実」はその約束に沿うものではありません。たとえば、世界有数の某食品会社のDAM環境は、むしろ次の図のようになっています。

DAM環境

多くの大規模組織にとって、DAMの世界は混乱したままです。アセットはいたるところに散在し、複数のシステムが複雑に絡み合って接続され、全システムを継続稼働するには多額のコストがかかり、変更を加えるのが極めて困難です。

どうしてこうなったのか?

今日販売されているほとんどのエンタープライズDAMシステムは、10年前、さらには20年前に設計されたものであり、その当時の問題を解決するには十分でした。ところが、それ以来多くの変化がありました。主なシフトは次の3つです。

1.企業でサポートする必要のあるデジタルチャネル、形式、コーデック、解像度が急激に拡大し、今なお拡大し続けています。 2.DAMで重要なのがマーケティングだけであった時代は終わり、顧客エクスペリエンスが新たな競争の場となっています。クリエイティブからマーケティング、販売、財務、ロジスティクス、サポートに至るまでのさまざまな役割が連携するようになりました。 3.マーケティングテクノロジーのツール群が爆発的に成長しています。Chief Martecが先週発表した2017年マーケティングテクノロジー動向によれば、マーケティングテクノロジーベンダの数は2011年には150社だったものが4,800社へと30倍以上増加しています。

こうした変化に対応することがあらゆる企業に求められていますが、DAMベンダは変化についていっておらず、限られた選択肢しか提供できていません。

その一方で、以下のようなレガシーシステムでは今日のニーズを満たすことはできません。

  • 検索機能が不十分である。
  • コンテンツソースや配布ポイントを追加するのが困難である。
  • 実装とアップグレードに時間とコストがかかる。
  • クラウドイノベーションを活用するよう設計されていない。

一部の新参ベンダからは、組織内の特定の部門をサポートする堅固なSaaSソリューションが提供されています。ただし、これらのソリューションは、さまざまな事業単位や部署のニーズと複雑性を管理するという大規模組織の要求にかなうものではありません。

DAMの未来に必要なのは、レガシーのエンタープライズベンダや部門別SaaSソリューションのように限定的でない新たなオプションを提供することです。

DAMの未来

私たちは、未来のDAMが以下の6つの条件を満たさなければならないと考えています。

1.セキュリティとアナリティクスの堅牢な機能を基盤とした、コンテンツのライフサイクル全体をカバーする機能を完備し、ソースとデスティネーションを問わず、あらゆるアセットを管理できる。 2.配置場所にとらわれずにあらゆるアセットを管理できる。 3.クラウドネイティブであるため、他のクラウドサービスと簡単に接続し、スマートに拡張できる。 4.強力なネイティブワークフローと使いやすい自動化機能を備えている。 5.完全に設定可能であるため、必要なエクスペリエンスだけを簡単に作成でき、アップグレード不可の高コストなカスタマイゼーションを行わなくて済む。 6.「はじめにAPIありき」のアプローチをとっているため、何にでも簡単に接続できる。 必要な機能を完備

エンタープライズDAMが必要な機能を完備しているとみなされるためには、以下の特長をすべて備えていることが必要です。

  • インジェストからタグ付け、検索、クリエイティブ、配布に至るまでのコンテンツライフサイクル全体を管理する機能。
  • 軍用グレードのアクセス許可とセキュリティ、アナリティクス、メタデータとUIの多言語サポート、ネイティブアプリケーションでの編集を可能にする堅固な基盤。
  • 企業のニーズに対応した柔軟な利用モデル(PaaS、SaaS、オンプレミス、ハイブリッドなど)。
  • 制約のない管理機能のサポート - あらゆるアセットタイプに対応: あらゆる種類のリッチメディアはもちろん、PDF、3Dモデル、ソフトウェアコードなどのアセットも管理できる。 - あらゆるソースに対応: クリエイティブ部門、代理店、企業広報、アーカイブ、パッケージデザイン、マーケティング資料、サイネージなどのソースを管理できる。
  • あらゆるチャネルに対応: モバイルアプリ、ブランド、製品、コンテンツマーケティングウェブサイト、販売/CRMシステム、eコマース、ソーシャル、マーケティング自動化/キャンペーンシステム、クーポン、印刷出版ワークフロー、広告、テレビ、パッケージ製造、イントラネットなどのチャネルを管理できる。

すべてを可視化して移行を不要に

未来のDAMでは、場所を問わずに環境が可視化され、既存のプロセスを妨げることなく組織内のあらゆるコンテンツソースと接続できます。そのため、すべての部門がすでに使い慣れたシステム、ツール、統合を使用して、これまで行ってきたプロセスを継続するとともに、組織のさまざまな場所にあるアセットにアクセスできるようになります。

これを可能にする超高速検索機能では、広範囲にわたって検索を実行して、必要なものだけをすばやく絞り込むことが可能であり、結果が返されるまでに5~10秒も待つ必要はありません。また、充実したセキュリティ/アクセス許可システムによって保護されているため、適切なユーザが適切なアセットに適切なタイミングで確実にアクセスできます。

クラウドを基盤としたクラウドのための設計

未来のDAMの第三の特長は、クラウドを基盤とし、クラウドのために設計されていることです。このことは、2つの多大なメリットを企業にもたらします。1つは、最新のクラウドイノベーションに接続して、ビジネスの加速化とコストの削減を実現できることです。たとえば、コンテンツのタグ付けをすべて手動で行おうとすると、リソースの制約を受けます。一方、人工知能に基づく自動タグ付けでは、テキスト、気分、ランドマーク、ロゴなどを抽出するキーワードを使用して、コンテンツに容易にラベル付けすることが可能です。

もう1つは、膨大な規模まで効率的に拡張できることです。数百万個を超えるアセットや複雑なメタデータモデル、高スループットを必要とするモバイルアプリ/ウェブサイト、ビデオトランスコーディングなどの大容量コンピューティング要件に直面すると機能しなくなるシステムは少なくありません。

ここでは、単に拡張できるだけでなく、必要な部分だけを拡張できることが、予算管理の点で重要となります。たとえば、進行中の4Kビデオワークフローを管理する場合、アセットはDAMからただちに流出するため、ストレージ要件は限定的ですが、大量のコンピューティングリソースが必要となります。一方、アーカイブサイズは巨大でも、変換数は少ない場合は、ストレージが拡張の最優先項目となります。

ネイティブワークフローと自動化

エンタープライズクラスの多くのDAMは、ワークフロー機能と自動化機能をすでに提供しています。それなのになぜ、デジタルコンテンツの作業にメールやインスタントメッセージングを使用し、手動プロセスに頼っている組織がいまだに大半を占めているのでしょうか。既存のシステムを稼働し続けるためだけに大量のリソースを投じる必要があると感じているチームが多いのはなぜでしょうか。

それは、今日存在するワークフローツールがDAMシステム用に設計されているわけでも、DAMシステムと緊密に連動するわけでもないからです。これらのツールは極めて使いにくく、大量のカスタマイゼーションが必要となり、変更を加えるのが一苦労です。また、ワークフローは導入してすぐに最新のものではなくなってしまいます。未来のDAMでは、コンテンツファクトリーのあらゆるステップを簡略化して高速化するワークフローを簡単に作成できます。

カスタマイゼーション

最先端のパッケージ化されたDAM製品でさえ、お客様のニーズの80%しか満たしてくれません。そのため、ビジネスの変化に合わせて維持するのが困難なカスタマイゼーションに、数千ドルもしくは数百万ドルを費やす結果になりかねません。私たちは、このような事態を容認すべきではないと考えます。コーディングを行わなくても強力なDAMの設定をわずか数日で完了できるべきであり、ビジネスのさまざまな局面に合わせて継続的に調整できるべきです。

たとえば、理想的なDAMは、細かい準備を行わなくてもインストールしてすぐに使い始めることができ、データモデルやアクセス許可を追加した場合に、それらをすぐに運用し始めることができます。

運用開始後は、デフォルトのワークフローを必要に応じて調整し、自動化や自動タグ付け機能を追加して、コンテンツのライフサイクルを加速化することもできます。

拡張の準備が整ったら、ブランドポータルなどのコンテンツソースと配布ポイントを追加し、それに合わせてデータモデルを簡単に調整することが可能です。

ビジネスの変化が不可避であるのと同様に、ワークフローも変化する必要があります。それによって、ワークフローの変更とエンタープライズシステムの接続をスムーズに行えるようになります。

未来のDAMはアジリティに優れるため、データモデルやインフラストラクチャ、ユーザタイプについて当初行った決定が後の段階で制約とならないようになっています。つまり、アジャイルなアプローチですばやく運用を開始し、その後のビジネスの局面に合わせて調整することが可能です。

「はじめにAPIありき」とオープン性

前述したようにマーケティングテクノロジーが爆発的に成長し、目まぐるしく変化する中、後から補足するかたちでオープン性を加えるのではなく、最初からオープンな立場をとったシステムを選択する必要があります。

コマースエンジンやWCMなどとの統合に惑わされてはなりません。これらの統合が重要だとしても、DAMと連携させるべき重要なシステムが他に多数存在します。またさらに先を見据え、1年後、そしてその1年後に何を統合する必要があるかを考えることが重要です。それでは、まだ存在さえしないシステムを容易に統合できるのでしょうか。

コンテンツテクノロジーエコシステムの中心に位置する未来のDAMでは、「はじめにAPIありき」のアプローチをとることが必要です。そのため、データとドキュメントの管理からワークフロー、検索、アクセス制御、配布に至るまで、DAMによって提供されるあらゆるサービスを他の任意のシステムに接続することが可能です。APIが後から付け足されたものでないことは、UIがそのAPI上に構築されていることを見れば一目瞭然です。

テクノロジーと同様に重要なのがオープン性の文化です。それがあってはじめて、ベンダ、顧客、インテグレータ、コンサルタントが互いに連携して未来を定義することが可能となります。つまりベンダは、ロードマップ、ソースコード、ドキュメンテーションを当事者全員(つまり、顧客、パートナー、社会)に対して透明化する必要があります。

DAMの未来はすでに起こっている

私たちは、DAMの未来がすでに起こっており、Nuxeoで構築しているのがまさに未来のDAMであると考えています。NuxeoのマーケティングDAMアクセラレータにより、未来のDAMによってもたらされるすべてのメリットをお客様の組織で享受することが可能となります。

1.インストールしてすぐに使い始めることのできるアプリケーション。マーケティング部門とビジネス部門のユーザにとって使いやすいため、すぐに採用して、短期間で価値を創出できます。 2.最新のモジュラー形式エンタープライズプラットフォーム。包括的なマイクロサービスAPIと無制限の拡張性を備えており、迅速な導入と継続的なイノベーションが可能になります。 3.配置場所にとらわれずにあらゆるアセットを管理できるユニバーサルなデータファブリック。プラットフォームを変更することなく、アセットを容易に見つけて再利用できます。