2019年はデジタルトランスフォーメーションにとって加速の年になると思います。単に変化の速度だけでなく、企業が顧客のニーズに応える速度も速くなるでしょう。

折り返し電話をかけたり、お客様との通話を保留にしたりする必要がある、紙のファイルを見つける必要がある、あるいはお客様の取引を完了するのに数日かかっているという企業にとって、2018年はとてもショックな一年だったことでしょう。

##2018年:破壊的な条件が勢揃い

フィンテックのディスラプション

2018年は、伝統的な金融サービス会社にとって、破壊的な条件がすべていちどきに発生した年でした。これまでのビジネスモデルが、あらゆる角度から攻撃を受けたのです。異業種の企業が凄まじいペースで市場に参入してきて、より良いお客様体験を実現しました。フィンテック企業が正統派の銀行業のビジネスモデルを分解して、最も旨味のある事業部分を奪っていきました。その間にも規制環境がさらに強化され、買収や合併は今まで以上に困難になりました。

しかも、AmazonのようなIT業界の大手が便利で簡単なサービスを提供してカスタマーエクスペリエンスの水準を引き上げているせいで、消費者は、IT以外の伝統的な企業に対しても同様の体験を期待するようになっています。その結果、競争環境が変化し、2018年には、顧客の期待値が史上最高レベルに達すると同時に、期待が満たされなかった場合の寛容度は史上最低レベルにまで下がりました。

##デジタルトランスフォーメーション:しているはずが、まったくしていないケースも
今日のデジタル時代、競合他社は、マウスのクリック1回の距離に控えています。サービスプロバイダを切り替えるプロセスは、今や瞬時にシームレスに完了し、まったく手間のかからないものです。以前であれば、会社を変えることで得られるメリットよりも、その過程で被るデメリットのほうが大きいこともありました。ガッカリさせられること、頭に来ること、さらには無視されることすらあり、この痛みを耐え忍んでようやく、会社を切り替えることができたのです。もちろん、そんな時代は過ぎ去りました。今では、競合他社への切り替えが、キーボードを叩いたりスマホの画面をタップしたりするだけで完了します。

にもかかわらず、デジタルトランスフォーメーションを正しい方向に向けて確実に進めているという自信を持って2019年に突入した企業もあります。こうした企業は、レガシーシステムや旧式なアーキテクチャの上に単にアプリを構築するだけでは本当の意味で競争できる立場に立てないことに気付いて、ショックを受けるかもしれません。今日の消費者が要求するオンライン、リアルタイム、24時間体制のサービスへと移行する能力がレガシーのインフラストラクチャにないことで、優れたお客様体験を提供するという目標が決してかなわないことが分かって、失望させられることもあるでしょう。こうなると、中抜き現象もそれほど遠くはありません。そして、衰退・衰弱の悪循環が始まります。2018年は、刻々と変化する未来がついに現実になった年だったかもしれません。

##デジタルトランスフォーメーションを実現する主な要素
真のデジタルトランスフォーメーションを実現するには、いくつかの要素が達成されなければなりません。第一に、会社の文化を変革する必要があります。何よりも顧客を重視し、お客様にとって喜ばしく夢中になれるような体験を提供しようとする文化です。単なる取引の処理を提供するわけではありません。第二に、今や開発に長い期間をかけることは許されません。新しい製品やサービスは、数日や数週間で世に送り出さなければならず、数か月や数年をかける余裕はありません。これはつまり、リアルタイムの意思決定や迅速な処理対応を目指し、そして製品のレベルを超えてお客様に価値を届けるべく努力することを意味します。これは一大目標であって、達成は決して容易ではなく、その過程では痛みも伴うでしょう。

スピード

問題に対応すべく頭数を増やすというのがスケーラブルな長期的ソリューションでないことは、すでにご存じのとおりです。あらゆることがますます絡み合うようになりつつある今日の環境で、他社と有効に競い合い、会社として存在価値を持ち続けるには、人の力と最新技術の力の間でバランスを取ることで、改良し、コストを下げ、最も重要な点としてスピードを上げなければなりません。

なぜスピードが大事なのでしょうか。

  • 御社が製品やサービスをすばやく提供できなければ、他社が提供するからです。
  • 御社がお客様の期待を満たさなければ、お客様は期待を満たしてくれる他社を見つけるからです。
  • 好機の継続期間が日に日に短くなっているからです。
  • 市場に真っ先に参入することが、完ぺきなものを提供するよりも重要な場合があるためです。
  • スピードを付けることが、デジタルネイティブの競合他社の脅威に反応する唯一の方法だからです。

アメリカのユーモア作家、ウィル・ロジャースの言葉を紹介しましょう。

正しい方向に向かう線路を見つけても、そこにじっと座っていれば轢かれてしまう。

動かなければなりません。今よりももっと速くスマートに動く方法を学ばなければなりません。だからスピードが重要なのです。2019年に向けた備えはできていますか。