デジタルアセット管理とは何か説明するよう求められる場面がよくあります。ところが、リッチコンテンツやメタデータ、コンテンツライフサイクルの短縮によるマーケティングの生産性の向上とeコマースの売上増加について説明し始めると、それを聞いている相手がバズワードや専門語に圧倒されて、心ここにあらずの状態になってしまうことが決してめずらしくありません。
こういう状態になることをお望みの方には申し訳ありませんが、この記事はそれとは違います。
ここでは、DAMの主要バリュープロポジションの一つ、つまり、関連性の高いコンテンツを検索して、すばやく見つけられることについて、数十億ドルの売上高を記録している消費財(CPG)メーカー、Widget社とGizmo社の事例をまじえながらご説明したいと思います。両社は企業規模が似ており、同じようなレベルの組織複雑性の問題を抱えていますが、そのプロセスとソリューションは、一方はDAMを実装している企業、もう一方はDAMを実装していない企業の実情をよく反映していると言えます。
DAMシステムは検索の点でどのような利点をもたらすか?
2社はいずれも、社員、チーム、事業部門が一丸となって、コンテンツの管理と業務の迅速化および効率化に取り組んでいます。しかし残念ながら、こうした取り組みの意図とは裏腹に、動画や画像などのリッチメディアコンテンツは、さまざまなマーケティングシステム、個人用ノートパソコン、さらには正式に認可されていないクラウドストレージアカウントなど、いたるところに散在しています。そのため、適切なコンテンツ(およびその最新バージョン)を見つけることは難しく、場合によっては不可能です。
販売担当者が最新バージョンの動画ファイル(見込み客に見せる前に簡単な調整を加える必要があると、この担当者が考えているファイル)にアクセスする必要がある場合、これら2社ではそれぞれ何が起こるでしょうか?
Widget社の場合:DAMの川をパドルなしで上るようなもの
販売担当者のアダムは、最新バージョンの動画がどこにあるかを聞くため、マーケティング部門に所属するグラフィックデザイナーのブレンダに連絡しました。
ブレンダはローカルネットワークドライブのファイルを調べましたが、アダムが探している動画ファイルは見つかりません。ブレンダはアダムに次のように返事しました。「マーケティング部門にはないかもしれません。社内の動画制作チームに余裕がない場合は、外部のクリエイティブエージェンシーを利用することがあります。」
ブレンダは、エージェンシーのプロジェクトマネージャーであるキャメロンに連絡すればファイルの場所を調べられるが、返答が来るまでに2日ほどかかるであろうとアダムに伝えました。また、エージェンシーにファイルを探させるのにかかるコストは決して安くありません。
キャメロンは動画を探し、2年前に制作されたバージョンを見つけてブレンダに連絡しました。ブレンダはファイルをローカルドライブにダウンロードして開き、会社の最新のロゴが入った、これよりも新しいバージョンのファイルを見たことがあることを思い出し、もう一度確認するようキャメロンに依頼します。ところがキャメロンからは、これよりも新しいバージョンはないという回答が返ってきました。
それから1日が経ち、ブレンダは、これよりも新しい動画バージョンがインターンまたはブランディングチームの誰かによって編集された可能性があることに気付きました。ブレンダはブランディングチームにメールを送り、さらに2日経ってから、最新バージョンの動画ファイルにようやくアクセスできるようになりました。
ブレンダはファイルをダウンロードすると、アダムから指定された更新を加えられるよう、動画編集担当者のデビーにファイルを渡します。デビーは動画ファイルをチームのドライブにアップロードし、ファイルを添付したメールをアダムに送ります。
アダムが動画を受け取った頃には、ファイルをリクエストしたときから既にほぼ2週間が経過していました。アダムはきまり悪そうに、YouTubeで見つけた比較的最近の動画を顧客に見せるために使ったばかりであることを認め、次回は最新のファイルを使うことを約束します。
1か月後ブレンダは、自分が所属するブランディングチームのドライブに最新バージョンのビデオがずっと置かれていたことに気付きました。最初に検索したときに見つからなかったのは、ファイルに間違った名前が付けられていたからです。
その結果、重大な機会損失が招かれました。
デジタルアセット管理によって何が変わるか?(Gizmo社の事例)
アーサーは、新製品が紹介されていることがわかっている顧客向けデモ動画を検索するため、dam.gizmo.comにアクセスします。「動画」をクリックして、「デモ」を検索し、製品名で絞り込むと、検索場所のフォルダを1つ開くのにかかっていたであろう時間以内に、必要な検索結果が既に表示されました。
アーサーは検索結果をざっと眺めた後、3つのチーム(社外のエージェンシー1社と社内のブランディングチーム2つ)によってそれぞれ異なるバージョンのファイルが作成されていることを特定しました。最新バージョンを見つけるため、検索結果を日付でソートします。すると、最新の日付の付いたファイルが2つ見つかり(アーサーは気付いていませんが、DAMシステムによって重複した結果は検索結果から既に自動的に削除されています)、そのうちの1つにはGizmo社の古いロゴが付いていることがわかります。
アーサーがDAMソリューション経由で簡単なクリエイティブリクエストを送信すると、リクエストがクリエイティブチームに送られ、動画編集担当者のダイアナに割り当てられます。ダイアナはリクエストとファイルを横に並べて確認し、DAMシステムから直接ファイルを開いて保存します。この際、ファイルをダウンロードしてロックしておく必要はありません。
ダイアナが加えた変更内容は、古い「親」ファイルの新しい「子」バージョンとして自動的に保存されます。これによって、アセットが使用または更新されたときに、動画チームがバージョンチェーンを容易に確認できるようになります。ダイアナがこの動画に組み込んだ他のアセット(新バージョンのロゴなど)は動画に関連づけられているため、次回ロゴが変更されたときに、更新が必要なすべての動画を簡単に見つけることができます。
DAMシステムでは、ファイルが検索ですぐに見つかるだけでなく、リクエストの処理が完了したことの通知も表示されるため、アーサーは顧客とのミーティングの前に動画を入手し、次回動画が必要になったときにそれがどこにあるかを知っておくこともできます。
DAMの最重要ポイント
Gizmo社の例で説明されているとおり、適切なDAMソリューション(特に既存のシステムおよびリポジトリとシームレスに接続できるもの)が導入されていることは、既存のコンテンツを検索して再利用することの多い企業とその社員にとって、大きな後押しとなります。
Nuxeo DAMによってもたらされるメリットは以下のとおりです。
- 迅速で直感的な検索機能
- 全サイロを可視化することによる検索結果の向上
- 新バージョンのアセットに対する自動タグ付け
- 外部エージェンシーへのアセット検索の委託を不要化してコストを削減
- 検索結果のソートが容易
- 重複したアセットを自動的に統合
Nuxeoでは、ここでは取り上げなかったDAMの主要バリュープロポジション、つまり、クリエイティブレビュープロセス、eコマースの促進、パーソナライゼーションの大規模な管理について執筆した同様の記事も3件公開しています。
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