文書管理という言葉が使われ始めたのはかなり昔のことで、1980 年代にさかのぼります。そうは言っても、文書管理システムとは、実際のところ何なのでしょうか。エンタープライズコンテンツ管理(ECM)、ケース管理、知識管理、コンテンツサービスプラットフォーム(CSP)などの言葉が溢れる今の時代にあって、文書管理システムソフトウェアは、どのような立場にあるのでしょうか。どう違うのでしょうか。
この記事の狙いは、文書管理システムとは何か(文書管理システムでないものは何か)を説明し、主な機能とメリットを紹介したうえで、なぜ今も文書管理業界が健在なのか、これがどのように進化してコンテンツサービスと呼ばれるものの一部になったかを説明することにあります。
文書管理システムはどのように機能するのか
[文書管理システム]/ja/solutions/document-management/(DMS)とは、電子文書と紙文書の電子画像を管理するための技術です。文書管理システムの機能は、「スキャンする」、「保存する」、「取得する」という 3 つのシンプルな動詞でしばしば表現されます。
- スキャン:紙文書をスキャンして、画像(TIFF や画像のみの PDF など)または文書(通常は PDF)に変える機能です。
- 保存:文書のストレージリポジトリとして機能するほか、分類、セキュリティ、監査などの機能をもたらし、必要に応じて保存と削除ができます。
- 取得:シンプルなインタフェースから検索と取得の機能をもたらします。
多数の企業が次のように様々な方法で電子文書管理システムを利用してきました。
- 紙のファイリングキャビネットの代わりとして
- デジタルメールルームを作るため
- これまで紙で管理してきた情報のセキュリティとガバナンスを向上させるため
- ファイル共有と文書上でのコラボレーションを向上させるため
- その他
文書管理システムの主な機能
一般的に文書管理システム(DMS)は、スキャン、保存、取得の機能を提供しますが、そのほかにも業務上のメリットをもたらす多数の機能があります。
- 作成と統合:システム内で文書を作成できます。または、スキャナ、メール、ファックスなどから画像と文書を取り込むことができます。
- 文書の分類:ユーザが定義する様々なメタデータフィールドを使って文書を分類できます。
- 文書の検索:システム内に保存された文書を検索できます。ほとんどの文書管理システムには複数の検索機能が備わっていて、例えばフォルダの閲覧、全文テキスト検索、メタデータ検索などがあります。
- 文書の閲覧:文書のコンテンツを閲覧する手段です。ほとんどのシステムは、PDF や Microsoft Office のファイルをはじめ一般的なファイル形式に対応するビューアを内蔵しています。
- 文書のチェックイン、チェックアウト、ロック:同じ文書を同時に編集できるようにする機能です。誰かが加えた変更が、同じ文書で作業している別の人の変更を上書きしないようにすることができます。
- 文書の編集:多くの文書管理ソフトウェアソリューションは、一般的なファイル形式に対応するインラインの編集機能があります。文書をシンプルかつシームレスに編集し、新しいバージョンを作成することができます。チェックイン/チェックアウト機能と併せて使用します。
- バージョン管理:文書の各バージョンに加えられた変更を表示し、現在のバージョンが以前のバージョンとどう異なるかを確認できます。
- 文書の共有:社内のシステムユーザや社外のユーザと文書を共有できます。
- ロールバックとバージョン表示:エラーや未承認リリースが生じた場合に、以前のバージョンにロールバックする機能です。また、最新バージョンと以前のバージョンを並べて見ることができます。
- セキュリティと監査:文書に対するアクセスレベルを包括的にコントロールし、文書またはユーザごとのアクションやシステム全体の詳細な分析機能を提供します。
- 文書のワークフロー:多くの文書管理システムが、シンプルなワークフロー機能を備えていて、文書主体のプロセスの自動化を支援します。
文書管理システムの使い道
文書管理システム(DMS)ソフトウェアは、社内の多数の部門で活用して、多数のメリットをもたらすことができます。DMS は、以下のような点で価値を発揮します。
- 情報をすばやく簡単に入手できるため社員の生産性が向上します。
- 生産性が向上し、導入コストや所有コストが低いため、プロジェクトの投資対効果がすぐに実現します。
- 企業の情報ガバナンスが強化され、情報セキュリティ侵害のリスクが低下し、コンプライアンスと監査管理が向上します。
- 個人の生産性が向上し、会社としてのアジリティが高まります。
- 既存の電子文書から価値を引き出す能力を高められます。
DMS の基本以上のことに目を向けるべき理由
文書管理は、過去何年にもわたり、多数の業界の多数の用途に価値をもたらしてきました。しかし、文書管理システムが提供してきた機能が、今ではコンテンツサービスと呼ばれる大きなスイートの一部になりつつあります。
新しいコンテンツサービスプラットフォーム(CSP)は、文書管理システムソフトウェアが提供してきた機能はもちろん、それ以上の機能とメリットを多数もたらします。人工知能(AI)を使ったコンテンツの分類から、ワークフローの自動化、高度なコンテンツ分析とプロセス分析まで、コンテンツサービスプラットフォームは、文書管理システムの伝統を基本としてそれを発展させ、クラウド対応、モバイル対応の職場にふさわしい技術を実現します。文書管理は、重要性の低い旧式なツールなどではまったくなく、はるかにパワフルなコンテンツサービスへと成長しました。