マーケティングとITに近年多大な投資が注がれ、驚異的な進歩があった結果として、事業経営に必要なソフトウェアに投資する際のアドバイスを得る手段が、かつてないほど豊富になりました。あまりにも多くの選択肢が存在するため、企業が主要ベンダーを選ぶ際に、独立した立場のアナリストが今までよりも重要な役割を果たすようになっています。

1983年に設立されたForrester Researchは、アナリスト業界で最も信頼される調査会社の一社となってきました。The Forrester WaveTMは、客観的で透明性の高い分析を行って同業界の競合企業にスコアを付ける報告書の走りとなりました。今では数千社という企業が信頼を寄せる情報源となっています。

では、The Forrester WaveTMとは何なのでしょうか。企業がベンダーを選定する際にこれをどのように活用しているのでしょうか。

The Forrester WaveTMの沿革

Forresterは今から16年前にWave報告書の発行を開始しました。2001年にTechRankingsを発表し、初年度で300社が購読を申し込むという、当時最大の成功を収めた後、Waveが作られました。技術業界で新しく形成されつつある市場を理解するためのリソースと位置付けられていました。

The Forrester WaveTMは、ベンダーの比較に際して独特の手法を採用しました。オープンで透明性の高い規準を設定し、それに基づいて各業界の主要ベンダーにスコアを付け、その時点での製品、戦略、市場規模の強さを示したのです。Waveの初の発行は2002年で、翌年には30種の報告書が発行されました。その後もエンタープライズ向けの技術が増え続け、それとともにWave報告書の数も増加してきました。

Forresterは、顧客企業が技術購入の意思決定を下す際の参考としてWaveの評価結果を発行しています。類似した評価はほかにも多数ありますが、Waveはすべての報告書で評価結果を詳細に示すスプレッドシートをダウンロードできるようにしているという点で異なります。Forresterは、顧客が自分で決定を下すことを奨励しているのです。

The Forrester WaveTMの図解の読み方

The Forrester WaveTM報告書には、常に複数の構成要素が含まれています。分析の概要、スコアの付け方、各企業のスコアカードなどです。とりわけWaveの特徴とも言えるのが、図解かもしれません。

The Forrester WaveTMの図解は、薄い青から濃い青までの色分けを使って、「Challengers」、「Contenders」、「Strong Performers」、「Leaders」という4区分の市場でのポジションを示します。ベンダーの戦略と製品のスコアに基づいて、分かりやすい視覚的な方法で各社の相対的な位置を示すのです。

Waveの評価に含まれる企業はすべて、Forresterがその業界の主要ベンダーとして認めた企業です。このことは、報告書の副題「Providers That Matter Most And How They Stack Up」にも表れています。「Leaders」とされたベンダーは、全体として信頼性が高く、差別化された製品と戦略を有しています。ただし、この区分のベンダーだけに視野を狭めてしまわず、自社のユースケースにとってベストの機能を提供してくれるベンダーを見つけることが重要だと、私たちは考えています。「Strong Performers」は、やはり重要なベンダーであり、高い競争力を有しています。

「Contenders」と「Challengers」に評価されたベンダーは、Forresterの評価規準全体にわたってスコアが低いベンダー(または、以前は「Leaders」か「Strong Performers」だったのに地位を転落させたベンダー)だと、Nuxeoでは解釈しています。
これらの区分に評価されたベンダーは、戦略的なビジョンや製品特徴に欠けている点があるかもしれませんが、なおも特定のユースケースには適している可能性があります。

この分布図上の点は、それぞれが当該技術分野の一製品です。分布図の軸は、Forresterが分析する側面です。縦軸は現行の製品特徴で、高いスコアを付けたベンダーほど軸上の高い位置に分布します(通常は、信頼性の高い機能が揃っていることを意味します)。横軸は、市場と製品の向かう方向性に関して確たる戦略とビジョンを持っているかどうかを示し、右に行くほどスコアが高いベンダーです。

また、点の大きさは、市場規模を示しています。たいていは、売上高と導入顧客数に基づいています。点が小さくても高いスコアを付けることはあるため、現行の製品特徴と将来の戦略の両方で、大きな点より小さな点のほうが高い位置になることもあります。

The Forrester Waveの評価方法

The Forrester WaveTMは、スコアリングの評価規準を客観的に設定し、すべてのベンダーに同じ質問を聞くことで、対等な比較が行われるようにしています。評価の最初のステップは、調査対象の技術市場における主要ベンダーを特定することです。

Forresterのリサーチアナリストは、そこそこの成熟度がある技術市場で、かつ購入に関心を寄せている企業が十分にあることを確認したうえで、客観的にベンダーを調査するための規準を策定し、競合製品の差別化に役立つスコアリングの方法を見極めます。

こうして評価規準を確定させた後、調査対象の規準を満たしたベンダー全社に調査票を送付します。ベンダーは、この調査票への回答に加えて、アナリストに製品デモを行い、また戦略を説明する機会を得ます。これにより、製品の現在の状況だけでなく、将来の戦略的な方向性が理解できるようになります。また、各ベンダーの能力を確認するため、製品の導入企業の聞き取り調査も行います。

Forresterのアナリストは、こうして収集した情報を総合して、各評価規準における「ベスト」とは具体的に何を意味するかを見極めます。そのベストの状態と比較して、各規準におけるベンダーのスコアを決定します。さらに、個別のスコアの比重を考慮したうえで、製品特徴と戦略の全体スコアを算出し、分布図にまとめます。

The Forrester Wave™ Methodology Guide

Nuxeoのポジション

Nuxeoは今年初めて、「The Forrester WaveTM: Digital Asset Management (DAM) For Customer Experience, Q2 2018」の調査対象に選ばれました。カスタマーエクスペリエンスのためのデジタルアセット管理(DAM)を評価した2018年第2四半期の報告書です。その客観的な評価規準に基づいて、Nuxeoは「Strong Performer」と評価されました。初めての評価であったことを考えれば、非常に誇らしい結果です。

このThe Forrester WaveTMで評価された製品特徴には、スケーラビリティ、ワークフロー、分析、ローカリゼーションなどの項目がありましたが、これらの詳細については追ってご紹介していきます。Wave評価にNuxeo Platformが選ばれたのは非常にエキサイティングな出来事でしたが、NuxeoがForresterのレーダーに入ったのはこれが初めてではありません。

Nuxeoは2016年と2017年に、Forresterの「DAM Vendor Landscape」で取り上げられていました。Nuxeoのデジタルアセット管理製品が複数の業界で導入顧客を増やしつつあることをForresterが認識したものと、私たちは理解しました。

このVendor LandscapeにNuxeoが登場した事実は、DAM製品の企業における位置付けが変わりつつあることをForresterが汲み上げた結果かもしれません。デジタルアセット管理はかつて脇役にすぎませんでしたが、2017年のVendor Landscapeでは、コンテンツの要求が高まりつつある現在、DAMは企業のマーケティング活動において欠かせないとの見方が示されていました。

Forresterはこの2017年の報告書で、クラウド技術や分析機能など、いくつかのトレンドにも言及しました。完全にクラウドネイティブの技術として「API先にありき」で構築されたプラットフォームであるNuxeoは、すばやく展開できるソリューションへのニーズをあらかじめ想定しています。分析を活用し、かつ多くの企業が抱えるコンテンツの急増という課題に合わせて拡張できるハイパースケーラビリティも有しています。

Nuxeoはこれからも、デジタルアセットの強力な管理機能を提供するリーダーへと成長していく所存です。Forresterの評価を皆さまにもご注目いただければ幸いです。