ワークフロー(あるいは、この業界でより一般的に使われる用語を使うと「ワークフロー管理」)は、私たちの多くが耳にしたことのある用語です。しかし、組織内の情報の管理との関連でそれが何を意味するのかを実際に理解している人はどのぐらいいるでしょうか?

専門用語に必ずついて回る課題として、一つの用語が複数の異なる意味で使われており、その多くが互いに重複した意味であるという問題があります。また、互いに近接した「用語」も多数存在し、その意味は重複する傾向があります。ビジネスプロセス管理(BPM)、プロセス最適化、プロセス自動化、タスク管理はその代表的な例です。ここでは、複雑さを排除して、ワークフローがどのようなメリットを企業にもたらすかという観点から、実社会で使われている用語でワークフローについて説明したいと思います。

ワークフロー入門

ワークフローは、通常、企業内で実施される業務活動を構成する各タスクを調整するものとして定義されます。 ワークフローはプロセスとも呼ばれ、それゆえに前述した重複が生じます。

この例としては、有給休暇の手配に必要となるステップが挙げられます。このプロセスは、従業員が休暇を申請することから始まり、これに続いて上司から承認または却下を受け、さらに、様々な段階におけるフィードバックと回答も含める必要があります。

明らかにこの状況は極めて単純な例であり、ビジネスプロセスはこれよりもはるかに複雑である場合がほとんどです。電子ワークフロー管理ツールを使用すると、組織はこれらのプロセスをマッピングして、潜在的な問題を特定し、最終的にはプロセスを最適化して、リソースとスケジュール設定の最適化を図ることができます。

ワークフローと情報管理

情報管理の観点から見ると、ワークフロー(およびワークフロー管理)とは、 タスク(通常は手動タスク)をデジタル化することによって、最終的に可能な限り多くのタスクを自動化する 方法に他なりません。その代表的な例としては、受領した請求書の管理と処理、従業員オンボーディング、契約書の管理などがあります。

自動化に向けた取り組みには、通常、以下に示す多数の要素が必要となります。

  • グラフィカルなプロセスデザインツール:ユーザはプロセスの定義と管理を視覚的に行えます。
    ワークフローデザイナ
  • レポート作成ツールとダッシュボード:複数のワークフローの進捗状況に関する詳細(阻害要因を含む)を確認できます。
  • タスクアラート:ユーザによる作業の実施またはワークフローの対話操作が必要なときにユーザに通知します。
    ワークフローとは
  • コンテンツおよびデータの入口・出口経路:入口経路は、文書やデータをワークフローに追加するために使用され、出口経路は、プロセスの途中でコンテンツやデータを取り出すために使用されます。
  • 様々なレベルのアクセス許可:基本的なレベルで、承認者や申請者などのアクセス許可をユーザに割り当てます。

ワークフローが重要な理由

組織が業務を遂行するためにはワークフローが不可欠です。また、ストレスと混乱を可能な限り抑えながら、スケジュールおよび予算どおりに作業を完了するには、プロセスを効率的に実行することが必要です。ワークフロー管理は、企業が社内プロセスを効果的にマッピング、管理、合理化するための手段をもたらします。

ワークフロー管理を導入することによって実現できる5つの主なメリットを以下に示します。

時間とコストの節約

自動化されたワークフローがもたらす最たるメリットは、 時間を節約 できることです。業務の遂行にかかる時間が短縮されると、従業員の時間の節約につながります。日常的な繰り返し作業を自動化することで、それ以外のもっと生産的な作業を実施できるようになります。また、時間の節約は必然的にコストの削減につながります。

エラー数の削減

反復的な作業を実施するときほど、「過ちは人の常」という教訓が当てはまる状況は他にないでしょう。ワークフローが自動化されると、エラーの原因となった手作業(または人的介入)の大半を排除できるため、事務処理面のエラー数が少なくなります。自動化されたアプリケーションは間違いや失敗をおかしません。

有益な情報

グラフィックイメージでデータをわかりやすく可視化したレポートは、自動化されたワークフローがもたらす主要なメリットの一つです。 組織は詳細なレポートに基づいて、プロセスの重大なボトルネックを特定し、主要パフォーマンス評価基準のレポートを容易に作成して、複数のワークフローを円滑に同時実行できます。

効率的なタスク管理

プロセスを合理化し、明確なレポートを作成すると、複数のプロセス(さらには複数の部門)にわたる可視性が高まります。ダッシュボード、アラート、リマインダはどれも、 プロセスのステータスとボトルネック、そしてプロセス改善の機会をすばやく把握するうえで役立ちます。

今こそワークフローに取り組むべきときです

企業内部における プロセスのデジタル化は、98%の組織で現在進められているデジタルトランスフォーメーションの中心的要素です。ワークフロー管理は、何年も前から存在しているにもかかわらず、あらゆる業種および地域の企業の業務効率を高める基盤的な機能であることは今も変わりません。ワークフローをどのように定義するかを問わず、 組織内でワークフロー自動化を最大限に活用することは、今日のみならず将来も視野に入れた戦略的IT計画の最優先項目に掲げられるべきです。