ABN AMROは、リテールバンキング、プライベートバンキング、コーポレートバンキングの顧客を有し、オランダと一部の国際市場で事業展開しています。オムニチャネルの営業網を通じて、多岐にわたる商品とサービスを包括的に提供し、特に高度なモバイルアプリとインターネットバンキングを重視しています。

##ステークホルダーのための長期的な価値創造は、情報管理から始まる
ABN AMROが目指しているのは、透明性の高いシンプルな商品を提供して、お客様との間に長期にわたる関係を築く銀行として認識されること、そしてすべてのステークホルダー(顧客、株主、社員、社会全体)のために長期的な価値を創造することです。そのような金融機関になるには、きわめて迅速に情報を管理・処理する能力が必要です。

しかし、ABN AMROに導入されているレガシーの情報管理システムは、様々な部署で情報がばらばらに管理されるという事態を生み出していました。様々なステークホルダーに高いレベルのサービスを提供するには、各種のシステムやリポジトリに保存された重要な情報アセットを統合して効果的に管理するインテリジェントなアプローチが必要でした。

##レガシーシステムの欠点が、より良いアプローチへを求める動機に
ABN AMROでは、同じECMソリューションの複数のインスタンスが社内の様々な部署に導入されていましたが、これらのインスタンスは相互に接続されていませんでした。そのうえ、それぞれに独自のインタフェースがあり、メタデータの構造とリポジトリが作られていました。

“レガシーの情報管理ソリューションには多数の問題がありました。まず、システムアーキテクチャの使い勝手が悪く、社内の既存のIT環境との統合が難しかったこと。それに、ベンダーの製品計画にイノベーションが感じられませんでした。昔ながらの考えで、「当社のソリューションから価値を得るには、当社のソリューションにコンテンツを保存しておかなければなりません」、「文書というのは、記録のソースにすぎません」という見方を語っていました。私たちは、そういう古いアプローチとは決別しつつあります。市場もその方向へ動いています。”

他のレガシーECMソリューションもいくつか見てみましたが、私たちが管理しなければならないボリュームやコンテンツのバラエティに対応するスケーラビリティがありませんでした。それに、おそらくもっと重要な点として、私たちの求めていた柔軟でオープンなアーキテクチャではなかったのです。単純に言って、これらのソリューションは、私たちの目指すITの構想には合致しなかったのです。
文書・記録管理/ECM担当プログラムマネジャー、Saswat Padhi氏

##柔軟性 + 接続性 + 近代的なアーキテクチャ = Nuxeo
“ 私たちが検討した重要な規準がいくつかありました。第一に、独自のフロントエンドを簡単に構築できるような、柔軟なアーキテクチャを持った順応性の高いプラットフォームがほしいと考えました。また、近代的・革新的な技術を活用しているという点でベンダーに先進性があることも、私たちにとって重要でした。理想的なソリューションというのは、コンテンツを「再使用・流用」させてくれるうえ、内部的なインデックスを提供して、信頼できる単一の情報源にアクセスできるようにしてくれるソリューションです。さらに、ユーザの人数に応じたライセンス契約のモデルから脱却することも、非常に重要でした。”

ABN AMROは、10年近くにわたってInfosysを戦略的技術パートナーにしていました。その支援も受けてNuxeoを選択し、文書管理と記録管理のアプローチを近代化するプロジェクトに乗り出しました。

Infosysは、未来の環境を見極め、ソリューションを導入し、ABN AMROの非常に具体的なニーズに対応するうえで、重要な役割を果たしました。

Infosysは、世界各地の企業に対し、コンサルティング、テクノロジー、アウトソーシング、次世代サービスを提供するグローバルリーダーで、新しい事業トレンドをとらえて競合をしのぐための取り組みを支援しています。

“ Nuxeo Content Services Platformは、驚くほど順応性に優れています。独自のフロントエンドを設定するのも簡単でした。また、Nuxeoは、ほぼどんな外部コンポーネントとも統合することができます。それに、Elasticsearchがあらかじめ統合されています。これは、私たちがこのプラットフォームを選択するうえで重要な要因のひとつでした。また、NuxeoがNoSQLをサポートしていて、高ボリュームのシナリオに向けてスケールアップできることも、私たちにとって非常に魅力的でした。”

##記録管理と顧客オンボーディングの最適化および向上
ABN AMROは、自社の情報管理エコシステム内にある数百万件というメール、ファックス、その他のファイルを管理するに際して、「ホットな記録」と「コールドな記録」に分ける手法を使用しています。Nuxeoは、最もアクティブに使われアクセスされている「ホットな記録」を保管・管理するのに使われています。合意書、契約書、お客様とのインタラクション、その他の重要な記録など、顧客オンボーディングのためのファイルが、これに含まれます。

Nuxeoは、戦略的なアーキテクチャの一部を構成していて、このアーキテクチャには、「ホット」と「コールド」、さらにレガシーシステムのフェデレーション検索を可能にするElasticsearchが含まれています。また、レガシーシステムは、よくアクセスする情報(ホット)を管理するNoSQLリポジトリ、あまりアクセスしない情報(コールド)を管理するHortonworksで構成されています。このシステムを使っているABN AMROの社員は現在1万人ほどですが、最終的にソリューションが完成した段階では2万4,000人以上に達すると見られています。

“ 以前は社内に多数の分断されたECMが存在し、すべてに異なるインタフェースとメタデータ構造がありました。言うまでもなく、これでは信頼できる単一の情報源を簡単に探すことができません。Nuxeoが導入されたことで、今では情報管理環境を調和させられるようになりました。情報の管理と活用を改善して、お客様体験を向上させ、内部のITシステムを有効活用し、コストを削減できるのですから、きわめて大きな価値があります。そのうえ、Nuxeoは、GDPRコンプライアンスの取り組みにも役立っています。”

##ABN AMROはNuxeo Platformの利用拡大を予定

“ レガシーシステムのいくつかを接続する作業は今も続けられています。こうしたシステムは、どんなに近代化された銀行にもあるものです。しかし、Nuxeoが導入されたことで、この方面が大きく進歩しました。現在、他の既存のコアビジネスアプリケーションの多くを接続するため、多数の事業部門と協議をしています。”

また、音声、チャット、オーディオ、その他のリッチメディアの管理にも、Nuxeoを使っていきたいと思っています。Nuxeoがこれに長けていることは、すでに分かっていますから。

ABN AMROでは今後、様々な部署に存在するレガシーECMを完全に廃止していく意向です。しかし、Nuxeoが入ったことで、社内のニーズや要件に合わせて独自のペースでその歩みを進めていくことができるようになりました。最終的には廃止されるレガシーシステムも含め、Nuxeoは既存のソリューションに接続して統合することができるため、ABN AMROは、中央化されたハブを介してコンテンツを「その場で」管理できるようになりました(既存のシステムやリポジトリにある情報アセットを動かす必要はありません)。同行では向こう1~3年以内にNuxeo Platformで10億件前後のアセットを管理していく計画です。