CVS Health Corporationは、米国のドラッグストアチェーンで、医療サービスも提供しています。2017 年の Fortune 500 リストでは 7 位、Fortune Global 500 リストでは 18 位にランクされ、売上高は 1,770 億ドルでした。CVS Health の子会社には CVS Pharmacy、CVS Caremark、CVS Specialty、MinuteClinic が含まれ、社員数は合計 20 万人以上。北米ではよく知られる小売店および医療・薬局サービスのブランドです。
レガシー ECM ソリューションの入れ替え
CVS Health は「薬局イノベーション企業」と自負していて、「お客様の健康改善の歩みをお手伝いする」という会社のミッションにおいてもイノベーションが重要な位置付けを占めています。このミッションは、中核事業である医薬品小売事業だけでなく他の事業にも及んでいて、CVS Health は、バックオフィスのプロセスと IT 環境を近代化してミッションを達成する方法を常に模索しています。
CVS Health は、過去 10 年以上にわたって CareSource と呼ばれる知識管理ソリューションを使用してきました。これは、2 万人から 2 万 5,000 人に上るカスタマーケア担当者が CVS Health 傘下の薬局や専門サービスプロバイダをサポートする際に欠くことのできないミッションクリティカルなソリューションです。
CVS Health の経営陣と IT 責任者は、CareSource が旧式化したレガシー技術の上に構築されていて、入れ替える必要があることを認識していました。基本となるアーキテクチャは 10 年以上にわたって刷新されていませんでした。この結果、敏捷性や柔軟性の問題を抱え、このプラットフォームでは単純に事業の要求に応えられなくなっていました。
優れた検索機能と文書ストレージ、そのほか 21 世紀のコンテンツサービス技術を提供してくれるプラットフォームが必要でした。専有ベンダーの「寿命に達した」技術を使用していて、当社のニーズや要件は満たしていませんでした。
CVS Health エンタープライズアーキテクチャ担当シニアマネージャ
Nuxeo ― フレキシブル、オープン、スケーラブルな代替
CVS Health の IT チームは 2016 年、近代的なオープンソースのアプローチに基づいて知識管理プラットフォームを向上させ、IBM や Oracle などの専有ソリューションへの依存度を下げるという指示を経営陣から与えられました。
最終的には専有ソリューションとオープンソースの両方を検討することになりました。オープンソースソリューションがどこまで成熟しているかが定かでなかったため、すべてを評価したいと思ったのです。当社にとってミッションクリティカルな業務であるため、あらゆる選択肢を検討する必要がありました。
CVS Health は、複数のベンダーを評価した後、最終的に Nuxeo を選びました。スケーラビリティに優れたオープンソースのコンテンツプラットフォームであることから、将来新しいソリューションを導入する際に柔軟性があり、専有技術の制約を心配する必要がなかったためです。
Nuxeo の他の導入事例も検討しました。特に大手ブランドの大型導入の事例です。これは当社にとって重要でした。これらの企業がミッションクリティカルなソリューションのバックボーンとして Nuxeo Platform を信頼したのであれば、私たちが気にしていたプラットフォームと技術の成熟度について多くを物語ると感じました。
CVS Health は Nuxeo に連絡し、すでに取引のあるシステムインテグレータが手がける新しい知識管理ソリューションの導入に際してのサポートを要請しました。新しいソリューションは TheSource と呼ばれることになりました。
スムーズな移行からフル導入まで
ミッションクリティカルなソリューションであったため、CVS Health は、段階的なステップを踏んでIBM FileNet から Nuxeo へ移行することにしました。3 か月間にわたって、古いシステム(CareSource)と並行して Nuxeo をベースとするプラットフォーム(TheSource)を実行し、スムーズかつシームレスな移行を達成しました。そして 2017 年末、Nuxeo をベースとした TheSource が稼動しました。
TheSource は、社内コミュニケーションを支えるミッションクリティカルなソリューションで、郵送サービス、臨床サービス、患者ケア、専門サービスプロバイダなど 60 以上の部署間のやりとりに使われています。
ユーザ数は 2 万から 2 万 5,000 人で、これらのユーザが常にこのシステムにアクセスします。法人顧客向けの福利厚生サービスに関係して、その顧客が自社の社員に通達する際に必要となる健康保険プランのデータシート、作業リクエスト、会話履歴、発表資料、トレーニングガイド、その他の重要なファイルが、このシステムで管理されています。この業務においては、最も正確かつ最新の文書が維持されていることがきわめて重要です。
検索機能の向上でカスタマーサービスが改善
CVS Health が法人顧客に提供するサービスはすべてそれぞれに異なり、保障内容も社員によって異なります。そのため、CVS Health のコールセンター担当者は、各プランの最新の保障内容にすばやくアクセスできなければなりません。
新しい UI と使いやすい検索機能がすばらしいです。検索パラメータを覚えておく必要がなくなりました。当社のカスタマーケア担当者が、必要な最新情報を今までよりもすばやく見つけられるようになりました。検索機能の向上は、間違いなく最大のメリットのひとつです。
疾病予防管理センター(CDC)が医薬品リコールなどを発表した場合には、当社のコールセンター担当者は即座に情報を得る必要があります。Nuxeo のコンテンツサービスプラットフォームがあれば、当社の担当者に直ちに情報が配信されると確信できます。これは当社の事業にとって重要なだけでなく、当社が法人顧客を通じてサービスを提供している数百万人という方たちの健康にとって重要です。
社内外ポータルのコンテンツを管理するもうひとつのレガシーシステムでも Nuxeo を採用
CVS は、Nuxeo との最初のプロジェクト(TheSource)で成功を収めた後、次のプロジェクトに取りかかりました。社内向けおよび社外向けポータルの規約、手順、コンテンツを管理するために使用してきた Oracle Stellent を入れ替えるプロジェクトでした。このプロジェクトでも、最初のプロジェクトと似た指示が経営陣から出されました。オープンでモダンでスケーラビリティに優れたプラットフォームを見つけて、老朽化したレガシーシステムを入れ替えるというものです。
Nuxeo が当社を成功へと導き、当社のミッションをサポートすることに情熱を傾けてくれたことに非常に満足しています。この 2 つのプロジェクトの成功を受けて、現在は他の業務でどのように Nuxeo を活用できるかを検討している最中です。
CVS が Nuxeo のコンテンツサービスプラットフォームを選んだのは、オープンで柔軟性に優れていること以外に、マルチテナント能力の高さに魅かれたためでした。この能力により、複数のワークフロー、メタモデル、セキュリティモデルを別々に管理して、ステークホルダーそれぞれのニーズに合わせて設定することが可能になりました。また、Nuxeo は、下流のポータルアプリケーションに対してコンテンツをプッシュ方式でシームレスに配信するという点でも、ワークフローやイベントに基づく自動化が可能でした。
Oracle を入れ替える 2 つ目のプロジェクトは 6 か月未満で完了し、すでに 100%稼動しています。