Serimax にとっては、溶接加工の国際総合サービス会社として、知識管理が決定的に重要です。その課題とは、会社が成長し、作業環境が変化するに伴い、技術データと溶接加工データの更新を実行し、どこからでもアクセス可能にすることです。この知識管理アプリケーションは、追加のオフラインクライアントモードを備えたNuxeo Document Managementによって構築されました。

背景

Serimax 技術・溶接加工チームは、オフショアやネットワークの接続がほとんど得られないサイトで作業する場合が多く、世界各地のチームメンバーが入手した技術文書や既存の専門知識へのアクセスができないことがあります。これらの問題に対処するために、Serimax は、オフラインクライアント機能を備えた知識管理アプリケーションを展開するためのプロジェクトを立ち上げました。最初の分析では、文書は重複していることが多く、管理されていないため、検索が難しいと判断されました。このような文書は、ファイルシステム内またはデスクトップ上の、サイロ化された部門別データベースなど、様々な場所に格納されていました。管理運用方法チームは、このプロジェクトの 3 つの主要な目標を定義しました。

  • 知識管理アプリケーションは、集中管理する必要があるが、各従業員のアクセス権に基づいて、Serimax の全従業員がアクセスできる必要がある
  • 知識管理アプリケーションは、オンラインとオフラインで利用できる必要がある
  • 知識管理アプリケーションは、進化を可能にし、ベンダやインテグレータのロックインを避けるために、オープンソースソリューションに基づく必要がある
    Serimax は、これらの目標に基づいて、ソリューションの成功度を測定しました。

ソリューション

Serimax が当初テストしたソリューションはいずれも、追加設定なしのままでは同社の要件のすべてを満たしてはいませんでしたが、Smile で行った評価プロセスにより、Serimax は、Nuxeo DM がオフラインクライアント機能を除き、すべての要件を満たしていたため、同社の知識管理アプリケーションの基盤として Nuxeo DM を採用しました。「当社が検討したソフトウェアパッケージの中で、Nuxeo は、一部の製品開発にオフラインモードを提供できる唯一のソフトウェアパッケージでした」と Serimax 社管理運用方法部門文書管理ディレクター Elodie Pénet 氏は説明します。「国際的なプロジェクトに出張し、常にインターネットへのアクセスが得られるとは限らない当社従業員の高い移動性を考えると、オフラインアクセスが可能かどうかは、決定的に重要です。」

Serimax、Smile(システムインテグレータ)および Nuxeo の各チームは、Serimax の要件を満たすために、共同で、機能および迅速な開発の詳細な定義を行いました。Nuxeo Platform 特有の柔軟性によって可能となるオフラインクライアント機能の迅速な開発には、Eclipse の RCP(リッチクライアントプラットフォーム)も活用されています。埋め込み式の軽量 Web サーバを使用すると、ユーザは、オフラインクライアントで、標準の Web ブラウザインタフェースで慣れている操作に似たユーザエクスペリエンスを享受することができます。主要なアプリケーション機能:

  • ワークフロー: ビジネスマネージャーによる各ドメイン文書の検証をトラッキングする
  • 集中管理文書リポジトリ: 最終版の文書が常に更新され正確である
  • アクセス権管理システム: すべてのユーザは、各自のアクセス権に基づいて関連文書にアクセスでき、必要に応じてアクセス権を拡張することができる
  • コラボレーション機能: 文書に関するユーザのディスカッションフォーラムと文書注釈機能
    Elodie Pénet 氏はこのアプリケーションに非常に満足しています。「ユーザは、このアプリケーションを使用してそのメリットに気付き、称賛しています。従業員が知識や議論を提供できるようになったおかげで、まもなく、全地域にわたって社内スペシャリストと専門家を特定することができるようになります。」

結果

知識管理アプリケーションは、機能要件を満たしただけでなく、2 つの興味深い面で Serimax の技術革新を引き起こすことになりました。

  • オフラインローカルデータの暗号化による知的財産権の保護技術・溶接加工チームが獲得、蓄積した知識は、Serimax の最も貴重な資産の一つです。知識管理アプリケーションを導入する前は、Serimax チームは、現場業務に取り掛かったときにハードディスクドライブと CD ですべての文書を記録していたため、CD や HDD を失って同社の貴重な知的財産を漏洩する危険性にさらされていました。知識管理アプリケーションを使用して、オフラインデータを暗号化し、Serimax 承認の装置に限りユーザ認証を許可することにより、同社はリスクから保護されます。
  • 従来型のオフィス業務の枠を超えて知識労働者の概念を拡大するSerimax の場合、知識管理アプリケーションの主なユーザと企業の専門知識の所有者は、多くの場合、オフィスの外で働く保守管理マネージャーや溶接加工技術者です。この傾向は今後も続くため、知識管理と文書管理の両アプリケーションは、この分野の専門性を維持できるように適応する必要があります。

今後の展望

Serimax の全従業員 800 人が現在、知識管理アプリケーションを使用して、ユーザガイド、メンテナンスガイド、実装ガイド、技術的な手順、データシートなどの技術文書と品質管理文書のアクセス・共有・追加・評価を行っています。次のステップでは、同社のドキュメントバックボーンに他の文書データベースを統合していくことになります。